担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
皆様、新年あけましておめでとうございます。良いお正月を迎えられましたか。
今年わたくしどもとしては、まず1月末までにホーム・ページのリニューアルを行います。続いて例年通り、2月、3月に体験レッスンを1回ずつ実施して、4月の初級コース開講を目指します。そして年内には、新テキストの編纂を済ませる予定です。本年もよろしくおねがいいたします。
さて、前置きはこれまでとして、本題に入ります。正月休み中に、かるた遊びを楽しまれた方もおいででしょう。今回は、当塾の課題文である “Dictator”と “I Have A Dream”(以下Dream)を使って、少しことば遊びをしたいと思います。それぞれのスピーチを構成する単語に注目、取り出して数の多い順に並べ、比較したのが下記の表です。
aaaaaaaaaaaaaDictator Dream
men/man 16 0
free(dom) 4 16
I 1 12
you 12 1
ring 0 12
us 11 0
let 6 11
dream 0 11
one 2 8
day 0 10
every 0 9
have 2 9
we 8 7
together 1 7
machinery 7 0
world 7 0
power 7 0
mountain(side) 0 7
people 6 0
hate 6 0
まず、表示した単語についてですが、どちらかのスピーチに6回以上使われているものに絞りました。但し、冠詞、定冠詞、前置詞、接続詞、それに助動詞は含みません。また、単語を選ぶスピーチの範囲は、Dictatorの場合、”We all want to help one another.” から ”Soldiers, in the name of democracy, let us unite.” まで、Dreamは ”I say to you today, my friends,…”からスピーチ最後の ”Thank God almighty, we are free at last.” までです。つまり、当塾の訓練で使う部分に限定していることを念のため付け加えます。
この表を見られてのご感想は如何ですか。この二つのスピーチ、20世紀を代表するものであることは間違いありませんが、作られた年代や背景、対象とする聴衆等異なりますので、このように比較すること自体殆ど意味がないかもしれませんが、ことば遊びとしてお許しください。
わたくしが面白いと思ったのは、次の3点です。
(1) I と you について、一方のスピーチでは多用されるも、他方では皆無に近いこと。(只、これはDreamのスピーチが、聴衆すなわちyouへの訴えかけがないのではなく、冒頭で “I say to you today, my friends, ….”と言って呼びかけ、自らのdreamを次々に語りかけていくことは皆さんご承知の通りです)。
(2)(1)とは対照的に、weについては、DictatorとDreamともほぼ同じ頻度で使われていること。また、(人称代名詞ではないが)、letも双方で比較的頻繁に使われている。(後者について、Dictatorでは ”Let us fight for a new world….”のように、Dreamでは”Let freedom ring from….”と何回も繰り返されます)。
(3) 片方のスピーチの中で一方的に使用頻度の高い単語は、そのスピーチの骨格をやはり作っているように感じられること。例えば、freedom, every, together, mountain(side)などはDreamの骨格を、またmen/man, machinery, world, powerなどはDictatorの骨格を作っているというように。
最後、ことば遊びのついでに、リストアップした単語を使って各スピーチの要旨を表してみたいと思います。
Dictator: 「諸君、力を合わせ、機械のためではなく、人間が生きるに値する世界をつくっていこうではないか」
Dream: 「わたしには夢がある。(神が与え賜うた)自由を共に勝ち取らんことを。山々に、国の隅々に、その動きを起こそうではないか」
2013年、皆様一人ひとりにとって、より良い年となりますよう祈念して。
※参考ブログ
「なぜ未来塾のスピーチ訓練では原稿の暗記を薦めないか」の注記欄(2011年10月13日掲載)
「歴史的スピーチをお借りする」(2011年11月10日掲載)