強い虎かダメ虎か、決め手は何?

投稿日:2011年6月23日

虎は英語でTigerですが、勇猛果敢で野生的な虎になるか、それともいじけた弱々しい虎になるか、そのポイントは何だと思われますか? もちろんここでは英語の発音に限定したお話しとしてです。それは冒頭のTの出来如何にかかっている、とわたくしは思います。十分な息でTの破裂音を作れるかどうかです。
 
T音の作り方は、舌先を上の歯茎に瞬間的に強く押し当て、鋭い息とともに出します。舌の先で歯茎を強くはじく、と言った方がより適切な表現になるかもしれません。Tigerの場合、まずは子音のTだけを練習し、出せるようになったらigerと連結させてみます。この時、iger部分も息で作ることが肝要です。T + igerであり、決して日本語の「タ」で始めないことです。ご自分の持つ息の80%を最初のTの破裂に、残り20%をigerに使います。単語全体としては、Tから真下に音を落とす感じで作ります。
 
「タイガー」では野性味のないダメ虎になってしまいますが、冒頭のTに鋭い子音が入ると生き返り、野性味のある強い虎に変身できるのです。
 
「Tはスピーチを際だたせる」と中津先生はよく言っていました。Tの発音が明快だとそれだけ聴衆を引きつけ、メッセージを伝えやすくなるということです。地名一つでもおろそかにできません。具体例を一つみてみましょう。
 
“Let freedom ring from Lookout Mountain of Tennessee.”
 
これはMartin Luther King牧師の有名なスピーチ、“I Have A Dream”の一節です。一番最後にTennesseeがでてきます。このTの発音を、鋭い息を伴った子音で作れると文全体が引き締まりますが、日本語音の「テ」で代用するとどうなるでしょうか。おそらく日本人以外の多くの聴衆にとって、特にアメリカ人の場合には、テネシーはまさかあのTennesseeのことであるとは気付かないでしょう。T音一つで聴衆への届き具合に雲泥の差が生じてしまうのです。
 

ナガちゃん

訓練成果―私の体験―

投稿日:2011年6月8日

昨年、私の勤め先(輸入卸業)にマレーシアからひとりの華僑のビジネスマンが訪ねてきたときのことです。英語で挨拶をして日本の印象を聞いたところ「あなたの英語はいい。分かる」と出しぬけに言われました。日本に到着してからずっと、ホテルやレストラン、お店で話される日本人の英語がよく分からないと言うのです。日本人が英語らしき言葉を言っているのは分かるが、何を言っているのか分からず、困惑してしまったことが、何回もあったそうです。初来日で英語が通じるはずと思って来た日本で、日本人の英語が分からず困っていたところ、やっと英語で通じ合えて、ほっとした彼の表情が印象的でした。
 
マレーシアは多民族国家でマレーシア語が公用語ですが、イギリスの植民地時代の公用語であった英語も民族間の共通語の役割を果たしているそうです。つまり、マレーシアの華僑の人々にとって、英語は日本人よりも身近な存在のようです。彼のほっとした表情の裏には「英語が分からないという経験は初めて」という戸惑い、驚きがあるように感じました。
 
また、以前、カナダ旅行でナイアガラの滝を見に行ったとき、滝壺に近づくボートツアーで出会ったドイツ人の女性と英語で会話をし、「あなたの英語は良い、一体、どこで習ったの?」と聞かれたことがありました。「日本で」と答えたところ、彼女は信じられない様子でした。「なぜそんな質問をするのだろう?」と、逆にこちらが聞きたい気持ちになりました。私は海外留学や、海外出張の経験はなく、一週間程度の海外旅行も今までに数回程度。そんな私の英語が「分かる、良い」と言われたのは、何故か? それは未来塾で受けた発音訓練の成果だと思います。
 
私が英語を話す時、まず気をつけることは、息、声を前に出すこと。その際に、口が横に開かないよう、口の脇に力を入れること。このことは「メガフォン口形」(*)として学びました。訓練で学んだことを実践したら、前述のように言われたのです。
 
私は20数年前、中津燎子から英語の発音訓練を受け、その後も引き続きトレーナーとして未来塾に関わっています。今の仕事では、特に、海外からの電話への対応時に未来塾で学び身につけたことが役に立っていると感じています。この未来塾が、私ばかりでなく、英語の発音習得に悩んでいる多くの日本人に役に立つことを確信しつつ、これからも運営していきたいと思っています。
 
(*)「メガフォン口形」:
詳細については2010年6月26日付、ナガちゃんのブログをご参照ください。

 オサリン