子音がもっと出ていたら….

投稿日:2015年6月17日

「王様と私」のミュージカル、渡辺謙が王様の役でブロードウエイの舞台に立ったことは、日本人としてわたくしも誇らしく感じます。55歳にして様々な挑戦、しかも白血病を乗り越えてのエネルギシュな活躍に脱帽です。お金と時間があったなら、現地に駆け付けて演技を見たいものです。只、英語の発音について批評家から少し厳しいコメントが出ていると聞き、先日NHKの「クローズアップ現代」で特集があった際、興味をもって見ました。

一言で言って、もし、渡辺さんがもっと子音を出せていたら、ト二ー賞の主演男優賞を手にできたのではないかと感じました。具体的には、SilenceのS、それとPuzzlementのPです。王様役の渡辺さんが、女家庭教師に向かって諭すような感じで、”Silence! Silence!”と2回続けて言う場面があり(そのようにわたくしには聞こえました)、日本語に訳せば、「うるさい」とか「お黙り」といった感じで受け取りましたが、Sの子音が不足で次の母音Iが目立ち、「お黙り」の英語としての語感が足りないのです。

二番目の例では、Pの破裂不足のために、そしてPの次に来るUが短母音で発音されていないため、間延びした音となり、「困惑」の語感が十分に出ていません。「感情表現を英語で表すのがとても難しかった」との渡辺さんのコメントを新聞記事で読みましたが、子音が出ないと前述のように、各々の言葉の語感が足りず、音の粒建がうまくいきません。逆に、必要とされる子音量を鋭く出せると、各場面での感情表現がやり易くなると言えるでしょう。

「惜しいかな」です。少し勝手な言い方ですが、今からでも遅くはない。子音を鍛え、母国日本において、発音面でバージョンアップした凱旋舞台「王様と私」を是非披露して欲しいものであると、密かに期待しています。

 

<ナガちゃん>