担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
わたくしは1988年10月、当時(神田)猿楽町にあったバベル翻訳・外語学院(現BABEL UNIVERSITY)の一講座、東京未来塾に5期生として入塾しました。同期生約30名のうち男性は3分の一ほどと記憶します。40歳と7か月、同期の中で年齢は高い方でした。
発音をもっと良くしたい、英語力を更に高めたい、未来塾の訓練は何かそれに応えてくれそうだとの一心で受講を決めました。それからの24年を振り返ると、大きく2分されることに改めて気付きます。中津塾長の下で過ごした最初の12年、そして仲間と自主運営組織を立ち上げて現在に至る12年です。
今年2月、わたくしは40数年の会社勤めから離れました。これまでの24年間、平日は仕事最優先で、塾活動は週末の土曜日中心といったパターンで過ごしてきました。でもこれからは平日も使えます。現在64歳の半ば、あと何年現役のトレーナーとしてやれるかと自問します。常識的に考えて24年は無理でしょう。でも、その半分の12年はできるかも、といった感じです。
未来塾の表看板は「発音」ですが、奥行きはかなり深いものがあります。全体像を一口で言い表すことは至難の業です。わたくしは音声表現の魅力に取りつかれてここまできましたが、今最大の関心事は、強い動機をもつ受講生の悩み解決です。ともに歩みながら、その解決策を探ることです。内憂外患の日本、その各分野で最前線に立つプロフェッショナルを、音声面を含めた未来塾の術を駆使して支えることができたら、それに勝る喜びはありません。
仕事で子供に英語を教えています。年齢は、小学生前から中学1年生までです。
今は、親の教育熱心さもあり、子供たちも結構たくさんの「英単語」を知っています。また、世の中にはカタカナで書かれた外来語がたくさんあり、いわゆるカタカナ英語も氾濫しています。このカタカナを読んで、英語を発音している、と思っている人(子)もたくさんいて、通じる英語の発音修得を邪魔していると思っています。
ある日、幼稚園児2人と小学一年生3人で構成されるクラスで、トラの絵を見せて、“What’s this?” と質問しました。即座に “It’s タイガー!!!” との答えが返ってきます。 “Yes, it’s a tiger. Very good. But タイガー is not English.” と言うと、きょとんとした顔。「タイガーっていうのは、英語じゃないよ。」???
えっ?という表情の子供たちに、「舌を上の歯の後ろにつけてみて。そうそう、それで、舌にギュ~ッと力をいれて。そして・・」といって、息で舌をはじきます。子供は真似っこが得意です。いっぺんで t の原音ができてしまいます。
「もう一回ね。舌を上のあごにつけて~。押さえて。はい、tiger! 」 “tiger!” もう、タイガーと言う子はいません。今度は、拍手を1つしながら、tiger と言ってみます。拍手をする間に tiger は発音終えています。「じゃあ、もう一度手をたたきながらタイガーって言ってみて。」拍手を終えた時点では、「タイ」しか言えず、「ガー」が残ってしまいました。「ねっ?タイガーはtiger と違うんだよ。英語では tiger って言ってね。」
子供と違って、大人がカタカナ英語から、英語として通じる発音を学び直すのには、もう少し時間がかかります。「トラ」を「タイガー」と言えば、英語を言っていると思ってきた期間が、子供よりはるかに長いですからね。
※過去の参考ブログ:「強い虎かダメ虎か、決め手は何?」(2011年6月23日掲載)