ウラジオストク訪問記(3)

投稿日:2014年2月26日

ウラジオストクに、夕刻8時頃に着いた私達3人を迎えに来た井上さんが、翌日からの2日間も車で案内してくださった。

その一日目。午前中は、ウラジオストクの港を見渡せる観光名所へ。着いてみると、他に人はほとんどいません。キリル文字を発明したキリル兄弟の銅像が、立派です。気持ちのよい晴天のもと、遠く連なる半島の山々や港で休んでいる大きな船たち、竣工して間もないという優美で巨大な白い橋がまぶしく輝いています。港湾を背景に、少し急な勾配に建物が立ち並ぶ景色は、函館や神戸や横浜などに似ているでしょうか。

私達だけという状況で眺めを楽しんでいると、背後からウェディングドレスとタキシードのカップルが現れ、カメラマンが海側の景色を背景に二人のさまざまなポーズを撮り始めました。彼らは、公園の中にある結婚式場から出て来たのです。気候の良いこの時期は結婚シーズンで、土・日は多くのカップルが挙式するそうです。そう言えば、落下防止のために取り付けられている鉄の柵には、愛の誓いの錠前がたくさんぶら下がっていました。錠前はがっちりしていて、壊れそうもない造りです。「いやいや、こんなことをしても、この中にはすでに別れたカップルもいますよ」と、クールな井上さんです。

さてその後、井上さんが、ご家族が遊びに行っている場所にちょっと顔を出さねば、ということで私達もおつき合いしました。井上さんはここウラジオストクで知り合ったロシア女性と10年ほど前に結婚し、お子さんが2人いらっしゃいます。この日はお嬢さんの10歳のお誕生日で、プレゼントは乗馬とのこと。

行ってみると、そこは波のない静かな入り江です。お嬢さんははるか遠くを引き馬に乗って海沿いにこちらに向かっているようです。奥さんや息子さんが友達とその家族と共に、小石を投げて水切りなどをして遊んでいます。空には真昼の月が浮かび、救助訓練をしているヘリコプターがロープに荷物をぶら下げて時折通り過ぎます。なんという穏やかな風景でしょう。

このような快適な時期は間もなく終わり、10月の半ばぐらいからはどんどん寒くなっていくとのこと。ぎりぎり良い季節にこの地を訪問できたのはラッキーでした。

井上さんの奥様は、仕事の都合で翌月からサイパンに1年間行くことになっていると伺い、びっくり。子供達は奥様が連れて行くそうなので、「寂しくなりますね」と同情すると、「そうなんですよ。でも、彼女はサイパンに行けることになってとても喜んでいます。ここに住むロシアの人達はとても暖かい国へのあこがれが強いんですよ。1年間ですし、自分は自由業ですから、こことサイパンとを行ったり来たりすることになるでしょう」

ウラジオストクは、その街ばかりでなくそこに住む人々もまたダイナミックな変化の渦中にいることを感じました。
(続く)

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<ぽんちゃん>