お手本がない!?

投稿日:2010年5月30日

4年に一度のサッカーのワールドカップ開催が近づいています。それに因んで先日テレビで放映された、アルゼンチン代表の注目選手、メッシの特集番組を見ました。ドリブルで敵の選手をかわしてゴールする姿は、かつてマラドーナがドリブルで5人を抜いてゴールする姿にそっくりでした。

 

この二人には共通点があります。身長が、メッシは169cm、マラドーナは166cm。サッカー選手としては小柄です。小柄であるがゆえに、高速で走りながら、近づく敵をかわすボールさばきの巧みさが洗練された、ということらしいです。サッカーの勝負を決するのは体格ではないのですね、あたりまえのことかもしれませんが。

 

さて、未来塾ではアルファベットの音作りという基本部分を終え、いよいよ音声表現のレッスンに入りました。まずは、文章の短いまとまりである「詩」が題材です。“Sing” や “Over the Rainbow” など、誰でもご存知の歌詞10数個の中から一つ選んで、人前で表現します。詩の内容を音声で伝えることがレッスンの主眼です。歌うのではありません。また、暗唱するのでもありません。

 

そしてレッスンが始まると、受講生の間にとまどいが生じることがあります。期待したお手本が示されないからです。アルファベットから単語までは、トレーナーはガンガン見本の音を発します。ところが音声表現に入ったとたん、お手本なし。コメントのみ。なぜ?

 

詩は単なる音の羅列ではありません。内容があります。その内容を各自の解釈にもとづいて表現することが求められます。誰の真似でもない、あなた自身の表現です。そう、表現には正解がありません。だからトレーナーは、示したくともお手本を示せないのです。

 

先に紹介したサッカーの特集番組では、アルゼンチン国民から往年のマラドーナの役割を期待され、スランプに陥ったメッシに、当のマラドーナが次のように助言します。

 

「私は自分のやれることをやっただけだ。君も君のやれることをやればいい」

 

どんなに似ているように見えても、人はそれぞれ違っていて、それぞれがせいいっぱい自分の力を発揮することが一番大切。音声表現にも通じる話と思いました。この2ヵ月間で培った発音を使って、せいいっぱい表現してみてほしい。勇気を持って、大胆に。

<ぽんちゃん>

必須の録音テープ聞き直し

投稿日:2010年5月24日

テープやディスクに録音した訓練内容を、最低一回は次回のレッスンまでに聞いてくること、それは受講生にとって宿題です。通常のレッスンは2時間ですので、平均して毎日20分は録音を聞いて復習しなければなりません。忙しい現代人にとって、平日20分の時間をまとめて取るのは出来そうで、かなり努力が要ると思います。

 

物理的な時間の工面の難しさに加え、なるべく録音を聞きたくないという気持ちの克服も要ります。「増幅法」による途方もない自分の声や、トレイナーの駄目だし中心のコメントを聞くのは、誰にとっても苦痛に違いありません。

 

わたしも初級の当初、録音を聞きたくなく、しばらく放っておいた時期があります。でも当時(20年前)は訓練の期間が10ヶ月と長く、時間数が今の数倍あり、挽回が可能でした。今は4ヶ月の速成コースですので、後から追いつくのは至難の業で、その時々でやるべきことを着実に行うことが求められます。その点、今の受講生には気の毒ですが、成果をあげるため、覚悟を決めて最低一回は聞き直して欲しいと思います。

 

聞き直しの際の留意点を一つ。とにかく集中して聞くことです。「イヤホンでひたすら聞くように」と中津塾長はよく言っていました。これは雑音を入れずに、耳を澄まして録音内容を聞く大切さを述べたものと思います。出来るだけ静かな環境の中で、また、心身ともに疲れていない状態で聞くと効果的です。

 

もう一つのポイントは、録音内容を漫然と聞くのではなく、聞き分ける意識をもつことです。トレイナーと受講生の違い、受講生の「誰々さん」と自分との違い、また自分自身についても、OKのときと駄目のときの違い、などです。同じPで始まる単語でも、ParkではOK、Pigでは失敗、といったような例はよくあります。

 

聞き直しが面白くなれば、しめたものです。音を通して、新たな自分の発見があるかもしれません。聞く分析力が増すと、周囲の様々な音が気になり出します。ラジオやテレビの出演者の声、プラットホームの放送、カフェでの人々の会話、等々です。何よりも、訓練中に発せられる自他の音への反応がよくなるでしょう。録音テープは、聞き分け能力向上へのヒントが一杯つまっている宝庫です。その宝庫の扉を開ける鍵となるのが、テープの聞き直しに他なりません。

<ナガちゃん>

からだほぐし(訓練前ウォ-ム・アップ)

投稿日:2010年5月17日

毎回120分のレッスンの内、最初の10分程度は「からだほぐし」です。身体をリラックスさせて、息が入りやすくします。具体的な内容は担当するトレイナーに任されています。よくあるパターンとしては、からだ全体を上下に数回連続的にゆすり(軽くジャンプ)、次に肩や上体の左右側面部をストレッチし、さらに胸部や背面を緩めていきます。
 
肝心な点は、動作の最中に決して息を止めないこと、ラジオ体操のように号令や音楽に合わせて一、二、三…とやらないこと、あくまで自分のその時の状態に合わせて行い、一週間の疲れを取り除きながら、からだの調子を確認することです。例えば、首を軸にして頭を回す際も、頭の重さを上手に利用して、できるだけゆっくりと回すように指導します。
 
この「からだほぐし」に続いて、息出し、声出しと行い、発音訓練前のウォ-ム・アップを終えます。発音訓練において、この「からだほぐし」を重要ととらえる人は少ないかもしれません。しかし、実はこの10分に加えて、その後の息出しと声出しを含めた約20分が、異文化を乗り越えるのに欠かせない準備工程なのです。
 
100メートル・ダッシュをする時、いきなり駆け出す人はいません。足首等をよく伸ばし、また少し助走をするなど必ず準備をします。発音訓練では、アタックといって音(例えばA)の出だしに、息の塊を出すことが要求されます。その息に声も乗せます。日本語とは異なった息遣い、発声が必要です。そのための周到な準備が欠かせません。準備不足だと、喉を痛めたりしますし、英語のリズム作りができません。
 
やっている内容は簡単で、一見時間つぶしのようにも見える「からだほぐし」ですが、決して軽視してはいけません。積極的に取り組み、自分の体調に耳を傾けるチャンスとして利用する。そしてからだの各部を動かしながら、痛い、気持ちいい、まあまあなどの反応を楽しむ感じでやれると、その日の訓練成果はあがるでしょう。
 

<ナガちゃん>

舌の力

投稿日:2010年5月9日

舌の力とは、正確には舌の根の力のことです。根の力が弱いと、舌の先端で上の前歯の歯茎を強く押すことができません。アルファベット26文字の中で、舌の力が絶対必要なアルファベットは、T、 D、 N、 Lの4つです。TとDでは鋭く、NとLでは粘っこく、舌の先で上歯の根元を押し付ける必要があります。

 

わたくしは未来塾に入る前、こんなにも自分の舌の力が弱いとは思いませんでした。言い換えると、これ程英語が、日本語に比べ、舌の力を必要とするとは想像できませんでした。自分の英語を録音し、それを聞くと不満足で、パンチ力が不足しているとは感じていましたが。
 
未来塾の訓練では舌の他に、唇や口輪筋(口の周りの筋肉)の強化を図りますが、舌の根の強化に一番時間が掛かると思います。

初級コ-スが始まると、最初の数回のレッスンで口周りの「基本運動」を行います。5つありますが、5番目が舌(の根)を特に鍛えるためのものです。動作は簡単で、口を開けて舌を前に出し、舌の先を上にあげ、次に下にさげ、最後に中に引っ込めるだけです。
但しポイントが3つあります。

 

(1) 全ての動作にメリハリをつける。
(2) 舌を出す際、全体に力を込め、真っ直ぐ前に出す(舌先はピンと伸びてい ること、形は三角形に近くなる)。
(3) 出した舌を下の歯で支えない(支えると舌の根を鍛えられない)。

 

この舌出し運動を一度に2~3回、一日最低一回は行います。このとき鏡を見ながら行うと効果的です。(1)~(3)が出来ているか自己チェックができますので。練習の際の注意事項として、いちどきに何回も繰り返さないこと。何回もやると、舌が腫れ上がる恐れもあります。
要は焦らずに、毎日徐々に舌力の強化を図る以外ありません。年齢などによる個人差は当然ありますが、毎日練習して一年程立つと、当初に比べて誰でもそれなりの成果を必ず享受できるようになるはずです。
ちなみに、40才代で始めたわたくしの場合、T、 D、 N、 Lに鋭さが出てきたと実感したのは半年を越える頃でした。

<ナガちゃん>