歴史的スピーチをお借りする

投稿日:2011年11月10日

 ここで言う「歴史的スピーチ」とは、未来塾の訓練で使う二つの課題スピーチ、
すなわちDictatorとI Have A Dreamです。前者は初級コースで、後者は中級コースで練習します。チャップリンやキング牧師の物まねではなく、スピーチの文章はそっくりそのまま借用するものの、各受講生が鍛えた英語音を使い、如何にスピーチ内容を自分のオリジナル版として表現できるかが問われます。
 
受講生が共通に超えなければならない壁がいくつかありますが、その一つが息継ぎです。特に今訓練が進行中で、一週間後に発表を迎えるI Have A Dream の場合、一つのピリオドから次のピリオドまでが総じて長く、例えばクライマックス部分では、実に7行にわたり全くピリオドがありません。途中で苦しくなり場当たり的に息継ぎをすれば、リズムが崩れ、聞き手に意味が伝わりにくくなります。計画的に息継ぎ箇所を設定して練習する必要があります。
 
更にもう一つ、息継ぎに関連してこのスピーチを難しくしている要因があります。それは、母音を十分伸ばして表現すべき箇所が少なからずあることです。タイトルにあるdreamをはじめとして、deeply rooted, creed, created equal, beautiful、後半に繰り返しでてくるfreedom, またNew York, California, Tennessee等の地名。例えば、freeで十分に母音を伸ばさないと、(奴隷状態からの)真の解放感は表現できません。母音を伸ばせるよう、常に十分な息のストックが必要となります。
 
息継ぎを含め、音声面での工夫と練習は不可欠ですが、同時に大切なのが、スピーチの内容解釈を深めることです。単に意味を理解するだけではなく、このスピーチに込められている主張やメッセージを自分としてどう受け止め、どこに共感するか、それはどうしてか、スピーチのメイン・テーマは今を生きる自分とどう関わるか等々を考え、整理し、自らの主張を作り上げる。それができて初めて、この歴史に残るスピーチをお借りして、自分が聞き手に伝えたい内容を表現できる準備が整います。

従って、ここまで検討・研鑽を積み重ねると、単なるチャップリンやキング牧師の物まねでは絶対あり得なくなります。たとえ文言は同じでも、スピーチとしてはオリジナルのものになるはずです。さあ、今年の中級受講生の方々の発表まであと少し。忙しい中、寸暇を惜しんで課題に取り組まれている様子が目に浮かびます。発表が楽しみです。  

<ナガちゃん>