担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
4月に開講した初級コース、レッスンが順調に進み、次回から後半に入ります。
これまでに習った英語の音作りの基礎について、各受講生がどの程度身につけたかを確認するため、簡単な発表をしてもらいます。課題文の詩の中から各自一つ作品を選び、それを音声で表現するものです。息や声の出し方、口形とその移動を含めて、考慮すべき事項がたくさんあり、とても表現を楽しむどころではありません。が、それでも自らの肉体を使って詩の内容を表現しきった爽快感を、どうにかして味わって欲しいのです。
例えば、課題詩の一つに “SMILE” があり、その中に次の一節が出てきます。
Light up your face with gladness,
Hide every trace of sadness,
この2行について、まずLight のL、それとHideのHに、英語で要求される息がスパッと入りカタカナ離れできると、それだけで詩の内容が立ちあがってきて、聞き手への伝わり方が違ってきます。聞き手も勿論そうですが、それ以上に詩を表現する演者自身が「違い」に気付くはずです。「違い」を作れた時のいい気分を瞬間でも感じることができると、それが弾みや励みとなって次のステップ・アップに繋がるのです。
ついでに、この詩の最重要ポイントは何か? わたくしは、やはりSmileの語感作りだと思います。それには、最初のSとM、この2重子音の部分をしっかり出せること、それと語尾のLを消さずに作れること、そして全体としては一息で(慌てずに)発して相手に届けること。この時、スピーカー自身の笑顔があるはずですね。怖い顔で “Smile!” と呼びかけても、誰も素直に応じられませんので。
もう一つ、練習段階では、少なくとも2種類以上のご自分の Smile作りを用意しておくことをお勧めします。この詩の中には6回程Smileが出てきますが、一種類だけだと単調になってしまいます。「変化をつける」、これが表現の幅を広げ、聞き手へのアピール度を増す秘訣です。
“SMILE”以外の課題詩の場合でも、その詩のポイントとなる言葉を見つけて、その語感を磨くことが大切です。レッスンの中で、トレーナーはそのためのヒントをコメントやアドバイスの形で出します。各受講生の方が、発表を終えて「あーすっきりした」という爽快感を味わえるよう、頑張って欲しいです。
<参考ブログ>
・お手本がない!?(2010.5.30)
・「音声表現」って何?(2012.3.8)
<ナガちゃん>
4月初旬にスタートした初級コース、既に3回のレッスンが終わりました。全体が12回ですので、早くも4分の1が済んだことになります。その間、繰り返し受講生に伝えられるのが、音作りの重要性です。すなわち、お手本があって、その音を「まねる」のではなく、自らの肉体を意識的に使い英語音を作ること、それが当塾の基本であり、特色であると。日本における英語学習、特に発音に関しては「まねる」のが主流で、その限界にすら思い至らず、まねる呪縛から解放されて基礎から音を作るという視点が未だ希薄であると思われます。
今から50年近く前になるでしょう。わたくしがNHKの英語語学番組の熱心な視聴者であった頃、ある月のテキスト巻末にどこかの大学の先生(外国人)が寄稿したエッセイの中に、英語を話せるようになる秘訣として、およそ次のような一文がありました。
“The best way to master how to speak English is either to marry an English-speaking woman or to open your mouth and move your lips and tongue.”
(最良の方法は、英語を話す女性と結婚するか、さもなくば自らの口を開き、唇や舌を動かすことである)
わたくしがこれを読んだのは未来塾に入る遥か前のことですが、冒頭に述べた当塾の基本とこの一文(特に下線を施した後半)とは、相通じるものがあると思います。自らの発声器官を総動員して音を作るという点においてです。
当塾の訓練では、まず増幅法を通して息と声が十二分に、しかも一気に出るように練習しながら、各アルファベットが持つ基本の音の作り方を口形(こうけい)とともに学びます(*)。一人ひとり舌の長さや口の大きさは違いますので、トレーナーのコメントを参考に、鏡等も使いながら、自らの音作りに地道に取り組んでいきます。アルファベットから単語へ、次に短文(詩)、最後はスピーチへと展開しますが、この一連の過程を通して、いわゆるカタカナ音と英語音の違いを文字通り体得できる仕組みになっているのです。
母語の場合には知らないうちに発音を身につけていますが、外国語はそれができません。意識的な学びが必要です。単なるまねでなく、音作りという観点に立った時、視界は開けてくるはずです。地道な音作りのノウハウが詰まったカリキュラム、その中盤に初級生の方たちはこれから差し掛かっていくところです。各人の具体的かつ強い参加動機が、これからものを言ってくると思います。
*参考ブログ:増幅法については「増幅音」(2011.2.4)
口形については「メガフォン型口形」(2010.6.26)
<ナガちゃん>