中学生に初めて発音レッスンをやってみて

投稿日:2013年8月15日

わたくしの中学・高校時代の友人が英語の学習塾を経営しています。先月連絡があり、夏休みのイヴェントとして(普段やっていない)発音のレッスンをこどもたちにやってみたい、方法は任せるので引き受けてもらえないかと依頼されました。安請け合いは危険という気持ちと、成人向けとの違いを乗り越えて、何をどこまでできるか挑戦したい気持ちとがあり、後者が勝り引き受けました。

中学1年から3年生まで計30名余を4グループに分け、各グループ約50分のレッスンをしました。各参加者にとっては、一回のみの単発レッスンです。未来塾が毎年2月と3月に開催している体験レッスンでは、発音を中心に3時間かけます。一クラス8人程度の中学生向けに、1コマたった50分位の時間枠でいったい何ができるのか、真剣に悩むことから準備は始まりました。

わたくしは1988年の秋に中津燎子主宰の未来塾に入り、以来25年間成人向けの発音と発想の訓練には継続的に関わってきましたが、中学生に英語の発音を教えるのは今回初めてです。経験なし、時間なし、といった状況の中、次の2点を柱にレッスンを組み立てることにしました。

(1) カタカナ音と英語音の違いを通して、英語の音に目覚める
(2) 自分の肉体で(カタカナ音と異なる)英語音を作ってみる

(1)については、パークとParkを板書し、各グループとも一人の生徒に代表してこれらを区別して発音してもらいましたが、彼ら4人とも違いを作ることはできませんでした。すなわち、Parkはパークとなって、英語で本来必要なPの破裂が皆無だったのです。

Pの破裂には、パで使う10倍ぐらいの息が必要なこと、上下の唇に強い力を加える必要があること等を通して、未来塾で言う母子分離(子音が独立して発音されること)、基本口形、唇や舌の根の強化を含めた肉体訓練の必要性を説明しました。その上で、息を体に沢山入れるための体ほぐし、息出しと声出し、更に基本運動と呼んでいる口周りの準備運動をしました。ここまでで30分以上経過。

残り15分程度を使ってできたことは、Pと同様に破裂の必要なグループに入る、BとMとWの音の作り方まででした。作り方の習得までは全く無理でしたが。わたくしが初日2コマ、数日おいた2日目に残り2コマ、文字通り声を涸らし、息が上がるくらいまで孤軍奮闘した結果はどうだったのか。その後の反応が何か生徒たちにあったのか、今のところ未確認ですが、わたくしは参加者一人一人の耳に、英語音とカタカナ音との違いが何らかの形で残ったと確信します。また、口形作りや唇と舌の強化の必要性について、個人差はあるにしても身体である程度覚えたのではないかと思います。

これから5年後、10年後にレッスンに参加した一人一人のこどもの中で、今回の体験がどのように実を結ぶのかとても楽しみです。

<ナガちゃん>