アタック

投稿日:2010年8月25日

アタックを辞書で引くと「攻撃すること。挑戦。attack」とあります(岩波国語辞典 第六版 P.20)。未来塾のテキストに「アタック」という言葉が出てきます。その箇所を少し引用します。
 
(単語を一個ずつ発音する場合の留意点の2番目として)
「発語の際に一気に息と声を出すアタマのアタックを必ず実行すること。」
 
(同じく留意点の4番目として)
語頭のアタックと同時に語尾の子音を消さない。」
  
実際に当塾の訓練で一番よくこの「アタック」という表現を使うのは、単語よりも母音の出だしのところです。母音、すなわち A、I、E、O、U (未来塾でよく練習する順番に並べてあります)は「口形と息」で作りますが、兎にも角にも出だしが肝心です。発声する人の持つ息の全量を100とすると、80を出だしに使います。このタイミングがずれると、母音作りはうまくいきません。
 
この80の量の息をほぼ一瞬に出すその勢いが、丁度スポーツ競技のバレーボールで、攻撃側がトスしたボールを相手コートに打ち込むその瞬間の情景とイメージが重なります。日本語音声には比べようもないほど英語音声に必要な「勢い」。それをイメージし易くするため、工夫された表現が「アタック」なのです。
 
息の通りがスムーズに行くように喉を開き、息に声を乗せる感じで出だしをバーッとやる、そのことを「アタックを付ける」と塾の訓練では表現します。これが出来るようになると、自分の意見を述べるため「I」でセンテンスを始めるような時、それまでカタカナで出した「アイ」とは全く異なった印象を相手に与えるに違いありません。存在感があり、言うことに責任を持つ、自信に溢れた貴方を演出できるはずです。

 <ナガちゃん> 

明快な発音

投稿日:2010年8月17日

未来塾は明快な英語の発音修得を目指します。そもそも「明快な発音」とは何か、少し考えてみます。わたくしは、聞き手にとって「聞き取りやすく、理解しやすい音作り」と言い換えられると思います。「カタカナ音では駄目」との注釈も必要です。カタカナ音では余りにも聞き手の持ち出しが大きく、理解しづらいと考えるからです。
      
明快な英語の発音に欠かせないのは、まず子音の強さです。息と唇や舌による破裂作りができること。そのために唇や舌、それに口周りの筋肉強化を訓練します。もう一つ大切なのは、音を消さずに出すことです。次の例文が訓練用テキストに載っています。
       
 “Mr. Tittlebet, why don’t you pick it up and put it back right away.”
(文中のTの音を決して消さず、曖昧にせず、明快に発音すること)
 
よくある例として、単語Littleのttl辺りの音は、会話などでは消されがちです。しかし、公式の場で発言するようなときは「音を消さずに、はっきり作る」必要があります。それが聞き手への配慮であり、自分の発言を聞いていただく条件とも言えます。
 
明快な発音を身につける上で大切な基本姿勢として、次の二つを挙げたいと思います。
(1) 自己の音声の客観的分析に怠りないこと。自分の音が聞き手にどのように届いているか、常に分析し把握する姿勢。
(2) 明快な音作りに労力を惜しまないこと。言葉を発する際に、口をきちんと開き、舌や唇を動かし、相手に音を丁寧に届けるという姿勢。
 
明快な音声で思い出すのは、故レ-ガン米国大統領です。ごく自然に語りかける、聞きやすい音声が今でも耳に残ります。また、少し最近では、英国の元首相ブレア氏、それに現米国務長官のクリントン夫人です。クリントンさんがNY市長を辞め、米大統領選挙へ出馬表明したときの「明快で」しかも「力強い」音声は、とても自信に満ちていました。
日本人で誰かいないか頭を巡らせましたが、思い浮かびません。
 

  <ナガちゃん>

“I”の重み

投稿日:2010年8月11日

当塾のパンフレットに、「“I”は『私』と同じではありません。」という文句があります。パンフレットを見られて、これは何だと疑問に思われた方もいると思います。この一文が何を意味しているか、分かりましたか。わたくしの実感でも、“I”と「私」の間には想像以上に大きな開きがありそうです。

 

わたくしが“I”に圧倒されたのは、1980年代の初め、出張でシカゴに行ったときのことです。まだ未来塾の訓練を受ける前でした。とあるショッピング・モ-ルの建物から、5,6歳の男の子が出てきました。両親と一緒だったと思います。わたくしはその建物に入るところで、すれ違うほんの数秒間に、その男の子は“I”で始まるセンテンスを数回口にしました。私の耳に“I”が、数秒ごとに飛び込んできました。何か一生懸命、親に向かって主張していたのだと思います。成りは未だ小さいのに、その迫力はかなりのもので、深く印象に残りました。

 

この出来事から6~7年経過した頃、未来塾に入りました。アルファベットから単語へと音作りが進みましたが、息と声を一体で出す(未来塾で言う)「アタック」の感覚がつかめず、特に“I”がうまくできません。タイミングがずれる、息の出方が足りない。10ヶ月の初級訓練を終え、次の中級の前半で課題文であった“I have a dream”の練習に入り、ようやく英語らしい“I”を少し出せるようになりました。

 

3年目からトレイナーの見習いとなり、以来何回となくスピーチ・デモを行い、“I have a dream”も繰り返しやってきました。それでも、常に不満が残るのはこの「私」ならぬ“I”なのです。主張力が弱い、聴衆に与えるインパクトが足りない、スピーカーとしての自分の存在をはっきりと示せない、そんな苛立ち感が残ります。英語の “I”は日本語の「私」に比べ、遥かに存在感があり、自己主張が強いのです。

 

そこで、むしろ“I”と「私」は異質と捉え、対処する方が易しいのではと考えます。日本語を話すとき、日本文化の中にいるときは見えにくい「私」でもかまいません。その方が、うまく行く場合さえあるでしょう。でも、英語を使って異文化の人へ自己のメッセージを伝える際は、“I”への切り替えが絶対必要です。未来塾の訓練で、その切り替えがかなり出来やすくなるものと思っています。

 <ナガちゃん>

欲しい物を買えない悲劇

投稿日:2010年8月5日

受講生の中で、その受講動機として、かつてアメリカ等に滞在中に食べたいものを注文したが話が通じず、悔しい思いをした経験をあげる人がいます。発音を改善したいので訓練を受けたいというものです。通じない主な理由は、やはりカタカナで発音しているためで、店員が聞き取れず、欲しい物を買えないという悲劇が起きるようです。

 

仮に次のような場面を想定してみましょう。「(街を歩いていて)近くのマクドナルドを見つけ、ハンバーガーとコーク、それにストロベリーのアイスクリームを食べたい。」幸い近くにお巡りさんがいましたので、近辺にマクドナルドの店がないか尋ねようと思いますが、さて…..

 

英語の言い方では、店名 McDonald’s の文字で、どこが最も強く発音されるでしょうか。ご存知の方も多いと思いますが、答えは“D”の部分です。M から始めて語尾の d’s まで(一拍で)言い切ります。Mは両唇に少し力を入れ発音し、その力を利用して、c、D、n、l、d、sと子音だけを繋げて音を作ります。母音のoとaを出そうとすると、かえってリズムが狂うからです。幸い、D~dまで、舌の先は同じ位置(上の歯茎)につけたままで、次々と発音できます。

 

念押しですが、出だしのMで決して「マ」と言ってはいけません。子音のみのMは、プレッシャーをかけて合わせた上下の唇を離す時に発せられる音で、表記すればむしろ「ム」に近いでしょう。また、Dの時に、強めに舌をはじき、他の音より際立たせることを忘れずに。

 

さて、無事に最寄りのMcDonald’sにたどり着きました。HamburgerとCokeとStrawberry Ice Cream を注文します。発音上のポイントは何か? 基本的には、これら3つ全て、語頭の子音を鋭い息と共に出します。すなわち、H、C(K)、Strの部分です。

 

口形は横に広がらないように注意します。Hは上下の唇を3㎝位縦に開け不動にして作ります。Coke は 、出だしのK音をしっかり出した後、oの部分では口をさっと丸めて発音し、最後にK音でしめます。Str は三重子音で母音は一切入りません。Sの子音を出すと同時に、舌先を上の歯茎に押しつけてT音を出し、それを素早く反転させ口蓋に当てR音を作ります。この間、息は出続けています。

 

注文や支払いで、数字も重要です。以下ワンポイント・アドバイスを少々。
・T(Two, Ten) くれぐれも「ツ-」や「テン」にならないように、前述StrのTの作り方を参照ください。
・Three  Th は舌先の上側部分を上歯に押しつけるようにして出します。
・F (Four, Five)   下唇を堅く緊張させ上歯部に押し当て息で吹きます。
・S (Six, Seven) 上下の歯を軽く閉じ、間から強く息を出します。「シ」にならないように。

 

今度は欲しい物を着実にゲットしたいですね!

<ナガちゃん>