音作り、それは地道な肉体訓練そのもの

投稿日:2013年5月10日

4月初旬にスタートした初級コース、既に3回のレッスンが終わりました。全体が12回ですので、早くも4分の1が済んだことになります。その間、繰り返し受講生に伝えられるのが、音作りの重要性です。すなわち、お手本があって、その音を「まねる」のではなく、自らの肉体を意識的に使い英語音を作ること、それが当塾の基本であり、特色であると。日本における英語学習、特に発音に関しては「まねる」のが主流で、その限界にすら思い至らず、まねる呪縛から解放されて基礎から音を作るという視点が未だ希薄であると思われます。

今から50年近く前になるでしょう。わたくしがNHKの英語語学番組の熱心な視聴者であった頃、ある月のテキスト巻末にどこかの大学の先生(外国人)が寄稿したエッセイの中に、英語を話せるようになる秘訣として、およそ次のような一文がありました。

“The best way to master how to speak English is either to marry an English-speaking woman or to open your mouth and move your lips and tongue.”
(最良の方法は、英語を話す女性と結婚するか、さもなくば自らの口を開き、唇や舌を動かすことである

わたくしがこれを読んだのは未来塾に入る遥か前のことですが、冒頭に述べた当塾の基本とこの一文(特に下線を施した後半)とは、相通じるものがあると思います。自らの発声器官を総動員して音を作るという点においてです。

当塾の訓練では、まず増幅法を通して息と声が十二分に、しかも一気に出るように練習しながら、各アルファベットが持つ基本の音の作り方を口形(こうけい)とともに学びます(*)。一人ひとり舌の長さや口の大きさは違いますので、トレーナーのコメントを参考に、鏡等も使いながら、自らの音作りに地道に取り組んでいきます。アルファベットから単語へ、次に短文(詩)、最後はスピーチへと展開しますが、この一連の過程を通して、いわゆるカタカナ音と英語音の違いを文字通り体得できる仕組みになっているのです。

母語の場合には知らないうちに発音を身につけていますが、外国語はそれができません。意識的な学びが必要です。単なるまねでなく、音作りという観点に立った時、視界は開けてくるはずです。地道な音作りのノウハウが詰まったカリキュラム、その中盤に初級生の方たちはこれから差し掛かっていくところです。各人の具体的かつ強い参加動機が、これからものを言ってくると思います。

*参考ブログ:増幅法については「増幅音」(2011.2.4)
口形については「メガフォン型口形」(2010.6.26)

<ナガちゃん>