訓練成果を測る尺度としての音声と表現

投稿日:2012年8月8日

7月半ば過ぎに、課題文“Dictator”の発表をもって今年度の初級コースが終了しました。未来塾では特に修了証を出しませんが、各受講生の発表を一つの成果ととらえ、トレーナー側から発表の出来具合についてコメントを出します。コメントの出し方については、特に定型フォームはありません。

 

わたくしは今回コメントを担当した一人の受講生に対して、かつて中津先生が私たちに対して時々行ったやり方で評価をしてみました。それは、発表を音声と表現の二つの面から便宜上別々に捉えて、それぞれ100点満点で何点の出来であったかを表す方法です。例えば、音声85点、表現90点のように。その上で、何故そのように評価したかの理由を付け加えます。

 

ここで一つ注目すべき点は、音声と表現の相関関係です。便宜上別個にとらえても、この両者は切り離せません。表裏一体の関係にあり、音が向上すると、その分表現を豊かにでき、逆に課題文の解釈を深め、何をどのように表現するかが明確になると、その効果が音にも表れてくるのです。

 

わたくしがコメントを担当した上記受講生は、昨年度の初級修了者で、今年は音の定着と精度向上を目指して、全12回の半分程度のレッスンに参加されました。その成果について、同氏は概ね次のようにまとめられました。「音の定着と精度向上については8割程度達成できたと思う。只、今回はそれ以上に大きな発見があった。それは、音声表現(*)に対する理解が深まったことで、音は異文化コミュニケーション上の一つの要素であり、何をどう表現するかを真に明確にできて初めてそれは生きてくる」と。

 

とても重要な発見をされたと思います。継続的な訓練が如何に大切か、トレーナーとしても改めて感じているところです。

 

*掲載済のブログより、関連するものを2つ挙げておきます。ご参照ください。
「音声表現」については、「「音声表現」って何?」(2012.03.08付掲載)
「課題文の内容解釈を深めることの重要性」については、「歴史的スピーチをお借りする」(2011.11.10付掲載)

ナガちゃん