担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
10月8日、中級コースが始まりました。前回のブログでも述べましたが、スピーチの課題文として“I Have A Dream”を使って、発音と内容表現の訓練をします。ポイントの一つが地名の発音です。例えば、TennesseeとMississippi。どちらも人種差別が激しいとされた米国南部の州です。カタカナの発音「テネシー」や「ミシシッピー」との違いをはっきりと認識し、自分の舌と唇を使って英語音をつくることが求められます。
冒頭の子音の T と M を十分な息で鋭く発音する必要性については、これまでのブログで繰り返し述べてきた通りですので、今回は下線部、すなわち同じ綴りが連続しているところに注目します。Tennesseeではn とs (厳密には語尾の eも)が連続しています。Mississippiの場合には、s が二つずつ2回繰り返され、その後p が二つ連続して出てきます。
このような場合、未来塾のレッスンでは訓練として、意識的に二つ分の音を出すように練習します。 nが連続するところではn2つ分の粘りを、s の連続ではsの子音を倍程に強く出すといった具合です。何故そのようなことをするのでしょうか? それは、音を省略しないで発音することがスピーチでは非常に大切だからです。
地名ではありませんが、音の省略について説明するため、もう一つ例を出します。それはlittleという単語です。よく日常会話などではlittleの t が削られて(というより、正しくは、舌先を上の歯茎に押し当て鋭い息の破裂で t 音を作れないというべきですが)、二つあるのに0.5個分程度にしか聞こえない場合がよくあります。その結果、親しい友人等を相手にした日常会話ではそれで済んでも、仕事を含めた公式な場では全くそぐわない発音(中津燎子は「パジャマ英語」とか「ネグリジェ英語」と呼んでいます)となってしまいます。
TennesseeとMississippiの発音に戻りますが、子音が連続する箇所では文字通り2つ分の音を丁寧につくることで、カタカナ音ではなく公式の場で通用する英語音になります。また、それによってスピーチの受け手である聴衆、とりわけTennesseeやMississippi出身者の琴線に触れる音声をもつくれるのです。
中級コースヘ進んだ受講者6名の方は、後3週間、“I Have A Dream”のレッスンを通して、スピーチに求められるゆるぎない音をつくることの重要性を更に学んでいくはずです。