担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
訓練用テキストの最初の頁に、この10カ条を掲載しています。正確には「異文化対応のための発音と発想の訓練10カ条」です。いわば何を目指しての訓練かについて、全体目標と具体的な到達点を示すものです。
まず、冒頭のところを引用します。
Ⅰ. 我々は地球市民として、あらゆる異文化の人々と共存してゆくため、よりよいCommunication能力開発を目指す。
II. Communication 能力とは、母国語、外国語を問わず、人間として異質なもの、異なった文化(生き方、考え方)にどう対応するか?という能力のこととする。
III. 母国語、外国語双方を含めての言語能力を開発する具体的到達点として以下の10カ条を定める。
そして、以下が当の10カ条です。
1.事実を見て、事実のままに言語化できる。
2.その事実を正確、公平に他へ伝達できる。
3.自分の考えを2分以内でまとめて伝達できる。
4.自分の言いたいことの優先順位が10秒以内で決められる。
5.事実説明と意見表明と感情表現を区別できる。
6.他からの情報や話を、事実と意見と感想に分けて聞く習慣を持つ。
7.自分が事実として知っていることと、単なる知識として知っていることを分けて整理しておく習慣を持つ。
8.他に煩わされないで自分自身が納得する自己像を持つ。
9.冷静、公平な自己アピールができる。
10.自分と直接の関係がなくとも、社会的な事件やトラブルを整理して、正確な情報として伝えることができる。
わたくしがこれらの中で一番面白いと思う条項は10番目で、1条から9条までが具体的到達点であるのに対して、これは少し毛色が異なります。
わたくしは、この、「自分と直接の関係がなくても、社会的な事件やトラブルを整理して、正確な情報として伝えることができる。」という条項の意味を、次の3点として捉えます。
1)オタクになるな!
常に訓練の大目的を忘れるなかれ。上記ⅠおよびⅡで述べられている全体目標を念頭に置き、発音や発想の技量磨きだけに埋没してはならない。
2)技(ワザ)は活用せよ!
訓練で極める技(ワザ)は活用してこそ値打ちあり。それには自らの興味や関心の対象をできるだけ広くもつべし。今を生きる者として、社会的な問題から目を背けてはいけない。
3) 情報を鵜呑みにするな!
偏見や伝聞に惑わされないように。自分の目、耳、頭を使って、情報の収集と分析、整理に努め、決して入手した情報を鵜呑みにしないこと。この過程で、訓練成果の真価が問われるのだ。
あの3:11の日、夕刻までに海外の取引先数社からわたくしの横浜の事務所へ安否確認を兼ねたお見舞いメールが入りました。帰宅の足を心配しながらも、無事である旨と現況を返信しました。それから1ヶ月、お見舞いのメールを送ってくださった取引先には、日々の仕事のやり取りに加えて、震災の最新状況を適宜ご連絡しています。わたくしにとって、それはこの第10条の実践でもあるのです。
<ナガちゃん>