担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
今回のタイトル「ディベート導入訓練」のポイントは「導入」にあります。「導入」とは、ディベートに至る道をつける、そのプロセスを大切にするということです。ディベートの試合に強くなるのが目的ではなく、それに必要とされる論の立て方、客観的な情報(証拠)集め等の手法を身につけるのが主眼です。
ディベートとは、ご承知の方も多いと思いますが、ある論題(例えば、日本政府は死刑制度を廃止すべし)について、賛成側と反対側に分かれて、一定のルールに基づき論戦し、勝敗を決めるゲームです。
未来塾のカリキュラムは、「発音」と「発想」の2本柱からなり、この両面から鍛えて、伝えたい内容を論理的かつ客観的に整理し、それを明快な音声で発信できれば、異文化のバリアを超えての意思疎通が可能であるとの考えに基づいています。ディベート導入訓練は「発想」の面を鍛える具体的な手法として、未来塾が独自に開発しました。
具体的なプログラムは、次の通りです。
<初級>
1.「発想訓練」
出題者があらかじめ考えている「答え」(例えば、ねこ)を、YESかNOで出題者が答えられる質問を質問者側が発して(例えば、「それは生き物ですか?」のように)、共同作業で正解を探し当てるゲームです。質問者にとっては、質問力向上と情報整理の訓練となります。
2.「ニューズレポート」及び「賛成か反対か」
いずれも与えられた新聞記事の内容をまとめ、その概要と自分の所感を発表します。発表時間3分以内。「賛成か反対か」では、テーマに対する自らの立場を明らかにした上で、その理由を述べます。(例えば、消費税率アップに賛成なのか反対なのかとその理由)。概要と所感を明確に分けることが非常に重要です。
<中級>
更に3回のレッスンがあり、最後は簡単なディベートの試合(「ミニディベート」と称しています)まで経験します。(中級での訓練内容については、別に改めて紹介したいと思います)
初級、中級とも、この導入訓練はすべて日本語で行いますが、その理由については以前のブログ(「日本語で伝えられないなら、英語でも伝えられない」2010年6月19日掲載)で説明していますので、ご参照ください。
みなさんが、あるテーマに関してご自分の意見を形成したいとき、まず何が事実かを明確にした上でご自分がどう考えるかを整理すると、意見が作りやすくなります。客観的な証拠集めも的が絞れますので、集めやすくなるでしょう。更には、あなたがご自分の意見を他人に伝える場合に、事実と意見を分けて示せると、聞き手にとってわかりやすく理解度が高まるはずです。
ディベート導入訓練によって、受講生が無理なく、できるだけ容易に、論理的な思考方法を身につけ、自らの考えを客観的な裏付け(証拠)とともに口頭で他へ提示できる力をつけられるよう、わたくしたちは訓練プログラムを組んでいます。