電車の車内英語放送

投稿日:2010年12月22日

新幹線などではかなり以前から車内の英語放送がありましたが、在来線でもここ十年程の間に英語の放送が一般化してきたように感じます。情報提供のサ-ビスが充実すること自体は歓迎すべきと思いますが、只その中身について、特に音声表現の訓練を経て耳が肥えて来た者にとって、発音上やはり気になる点が多々あります。よく家内からは逆にたしなめられることが多いのですが、以下3点に絞り不満点を述べます。
 
(1) 早口であること
(2) 駅名をわざと日本語口調でいうこと
(3) アナウンスの途中で節(フシ)が入ること
 
ここで一つお断りしておくことがあります。関係筋に確認したわけでなく、従ってわたくしの錯誤である場合もあり得ること、またここでの不満は東京・横浜近辺の在来線の車内放送の英語に限ること、そして大前提として、(私の耳での判断によると)日英両方のアナウンスを同一人(日本人)が行っている(と聞こえる)実例についてのコメントになります。
 
まず(1)について。早口に言わんが為、口が回らない状況が生じています。恐らく早く言うのが良いこと、早口でまくし立てるのが流暢という意識が働いているのではと思います。正しく分かりやすく情報を提供するのが目的なので、ゆっくり時間をかけて言って全く差し支えなく、むしろそれが目的にかなった言い方だと思うのですが。
 
(2)について。全ての場合ではありませんが、駅名の所にくると途端にアクセントを日本語式に置き換えるため、英語としてのリズムが狂ってしまうことです。日本語式の言い方であれば、日本人の乗客には分かりやすいのですが、英語放送なのでやはり全体として英語のリズムに乗せないと変、というのがわたくしの感想です。また、日本語に慣れていない外国人にとっては、いきなり固有名詞のところだけ日本語で言われても、捉えにくいと思いますし、発音したくても再生が難しいでしょう。
 
(3)について。乗り換え情報提供の際に、路線を言う時の“ … Line”の音声に微妙に変な節がついたり、上昇したりすることです。理由は、日本人としての体内リズムからくるものと思われます。英語の文章を読んでいるとき、英語の特徴である強弱を、音のアップダウンで対処しようとすることと共通しています。同じ現象が“The next station will be ….”と言ったときに、will be の辺りにも起きます。単に駅名だけを言うのに、変に科(しな)を作っているような発声になるのです。かつて中津塾長は、このような現象に対して「ゾロびく」といった表現を使っていたことを思い出します。
 
幸いにもわたくしは、毎日の通勤では電車に乗るものの数駅だけで、更にわたくしの乗る区間では英語の放送がありません。もし毎日朝晩、それもすし詰めの車内で繰り返し上記のような放送を耳にしなければならないとしたら、思うだに苦痛です。かなり多くの方が心の耳栓をしているか、あるいは日本人が得意な聞き流しの術を使って凌いでおられるのではないかと、勝手に想像している次第です。

<ナガちゃん>