担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
Dual Lifeとは文字通り訳せば「二重生活」となりますが、ここでは「異なった文化間を自由に行き来して生活できる」という意味で使っています。異文化対応(Cross-Cultural Awareness)が未来塾講座の主目的ですが、その理想的な成果としてDual Lifeがあるわけです。
日本で生まれ育ち成人した者が、真に異文化間をDual に生きるのは至難の業です。自国の文化と母語を基に置きながら、仕事などで必要に応じて異文化の壁を乗り越え相手と折衝し、解決策を見つけて行くのがDual Lifeの一形態です。また、留学や赴任で外国に暮らし、諸状況に対応しながら目的を果たすのも、もう一つ別の形態です。
当塾のテキストに「異文化お互い様リスト」(*)が載っています。元塾長の中津燎子が作成したもので、世界を大きくソフト型文化とハード型文化に区分けして比較し、両者の文化的相違を明らかにしようとしています。日本とかタイはソフト型文化に属し、欧米諸国をはじめその他多くの国や地域がハード型文化に属するとしています。
更に、ソフト型文化では「生き方」として重要なのは、「主張よりも妥協」であり、「対立は喧嘩と考え相手に同化するのが常識」であるのに対して、ハード型文化では「主張が常識」で「対立は喧嘩ではない」。また、「言語」に関しては、前者では「感性重視」「音声軽視」であるのに対して、後者では「言語重視」「音声重視」であるとしています。
日本人の控えめな態度もソフト型文化では評価されても、「主張が常識」で「言語重視」「音声重視」のハード型文化から見ると、同じようには評価が得られず、むしろ主張するものを持っていないと見られる恐れがあります。重要なのは、異文化との折衝に当たっては、このような文化的な差異の存在を前もって十分に認識しておくことです。
我が未来塾では、音声と発想の両面から文化的な相違に気づき、それを乗り越えていくための技を習得して磨きます。その技とは、明快な発音と明快な論理に支えられた相手に通じる自己表現力(主張&説明力)と言えるでしょう。目指すことは、繰り返しになりますが、その訓練によって各人が自分の生活や仕事等を通してDual に生きていけるようにしようというものです。
(*)「異文化お互い様リスト」は中津燎子著『英語と運命』 三五館 P.348-349にも掲載。