担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
未来塾初級第6回のレッスンでは、音声表現-Iに取り組みます。前回、文章における音のつなぎ方を学びました。それを元に、今回は表現という要素も加える取り組みに入ります。
題材は16編の詩から、トレーニーが選んだ1編です。選択のポイントは、内容に共感できるもの、そして、自分の不得意な音をあまり含まないもの。
テキストに掲載された16編の詩は、Blowing in the Wind やSingなど、どれも歌として聞いたことがあるかもしれないものばかりです。けれども、レッスンで取り組むのは、もちろん歌としてではなく、これまで未来塾でつくり方を学んできた音で発音していきます。
今回のトレーニーのみなさんも、それぞれご自身が共感できる内容の詩を選んで、「音声表現」に取り組んでくださいました。
新しいことを学ぶときに、全体をより小さな部分に分けて、それぞれの部分を順次習得し、最後にそれらの部分を統合する、という手法が取られることはよくあります。そして、この統合というステップは、思っている以上に困難を伴い、それまでに習得したと思ったことさえも、元に戻ってしまうことがよくあります。未来塾の発音訓練でも、文章の音づくりに入ると、この統合という段階になるわけですが、やはり、英語を文章として発音しようとすると、これまでつくってきた音が崩れてしまい、入塾前の慣れ親しんだ“英語もどき”の音で発音してしまいがちになります。中津燎子は、この症状を「先祖返り」と呼んでいました。トレーニーのみなさんにも、ところどころで「先祖返り」の症状がでていました。
大切なのは、音をきちんとつくりながらも、単語転がし1にならないよう、文章として何が主語で述語部分は何なのかが、聞き手にわかるように発音することです。
音づくりだけでも、これほどの困難を伴いますので、課題の「表現」にまで意識を向けることはなかなか大変です。それでも、音声で表現する、ということに、まずは挑戦し、それを楽しんでほしいな、と思っています。
たとえば、happyという単語を発音するときには、その音を聞いた人にその「幸せな」語感が伝わるように工夫するのですが、そもそも音がきちんと届かなければ、内容も届きません。表現の基本も地道な音づくりにあります。
音声表現の取り組みは、この後、スピーチの訓練をとおしてレベルアップしながら続いていきます。
<イノモン>
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注)1 単語転がし:未来塾用語。文章内の単語を意味の塊として音声でつなげるのではなく、丁寧ではあるが、単語一つ一つを等間隔で機械的に、ごろごろとつないでいく発音の仕方。
<参考ブログ>
「音声表現」って何? https://nakatsu-miraijuku.com/diary/84
表現する爽快感をあじわう https://nakatsu-miraijuku.com/diary/1133