ニューズレポート

投稿日:2019年6月30日

私たち未来塾のトレーナーが中津燎子から訓練を受けているときに度々聞かされていたことの一つに次のようなものがあります。「英語修得において、発音の仕上がりは50%でもよいが、文化については200%の理解が必要である。」ここで言う文化というのは、もちろん建造物や美術品といったものではなく、言語文化、すなはち、英語における論理性、世界(もの)のとらえ方、その提示のし方、といったような意味です。どんなに発音が良くても、内容 (意見) がなければ、そしてそれをわかりやすく伝えられなければ意味がない、というわけです。そして、それを学ぶために中津が私たちに課したのは、ディベートでした。

ディベートというのは、英語の言語文化におけるエッセンスが凝縮した形でゲーム形式となったものです。すなはち、一つの論題に対して「肯定側」「否定側」の立場に分かれて、議論を組み立て、必要な証拠で裏付けし、聴衆の前で議論して、どちらがより説得性があるかを競うものです。各スピーチには双方に同じ時間が与えられ、しかも短い時間です。その中で、言いたいことを要領よく整理してわかりやすく音声で伝えなくてはなりません。

多くの日本人にとってなじみのないディベートにいきなり取り組むことはハードルが高いため、当時の上級生 (1988~97年頃、未来塾は初級、中級に続いて上級コースもありました) が開発したプログラムが、現在の新生未来塾でも採用している「ディベート導入訓練」です。なお、この訓練は日本語で行っています。

実際のディベートの試合とそれに必要な立論のレッスンは中級で行いますが、初級ではその基礎となるスキルを学ぶために、「Yes/No game」、「ニューズレポート」、「賛成か反対か」のカリキュラムを用意しています。

初級第9回目のレッスンでは、トレーニーのみなさんに「ニューズレポート」に取り組んでいただきました。これは、それぞれ個別に配られる新聞や雑誌の記事についての概要と意見を15分間でまとめ、3分間で口頭発表していただく、というものです。もう少しくだいて言うと、その記事が要するに何を言っているのかをまとめ、自分の意見を形成してそれを聞き手にわかりやすく伝えることです。しかも短時間で準備し、聴衆に届く明快な音声で発表することが求められます。「概要」と「意見」を明確に分けることもポイントです。

発表の際に陥りがちな傾向として、記事に引きずられたり、ただ記事の一部を読み上げたりして「概要」に時間を取られて所定時間内に「意見」を言うことができなかったり、「概要」と「意見」が混ざっていて、聞き手にとって理解しづらくなったりすることがあります。また、そもそも「意見」が形成できない場合もあります。けれども、今回のトレーニーのみなさんは、記事の内容を程よい長さにまとめ、意見も形成されていてわかりやすく伝えることができていました。

<イノモン>