担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
規定量とは何かが今回のテーマです。テキストには「音と息の規定量を満たす」といった表現で出てきます。4月に初級が開講し、アルファベット26文字の音の作り方を終え、単語を経て、ようやく文章に入りました。詩を使っての音声表現のレッスンです。ここで受講生に求められる条件の一つが、この「音と息の規定量を満たす」ことです。
各受講生は、テキストで課題として掲げている16篇の詩から一つを選び、自分なりの解釈に基づきその内容をこれまで練習してきた音作りを生かして表現します。その際、他者(トレーナーや他の受講生)が内容を把握し理解できるに足る、「音と息の量」を備えている場合、その音声は「規定量を満たしている」ことになります。言うまでもなく、この規定量には純粋な意味での物理的な尺度(例えば、何々ヘルツといったような)はありません。
上記で「音と息の量」と言いましたが、日本人が英語の音声表現を行う場合には、「息」の重要性を強調しておく必要があります。特に子音です。息の伴わない子音は考えられません。そもそも日本語では母音と子音が一体となっていますので、英語の音作りを学ぶ際に、母音と子音を分けることから始めなければなりません(*)。その上で十分な息の量を伴って、それも瞬発的に強く、鋭く出す必要があります。
息の使い方について、課題の詩の一つ“SING”を例に述べてみます。この詩の冒頭は“Sing, sing a song”です。これを一拍(息)で発音しますが、体内に取り込んだ息の半分を最初のSingに使うと言っても過言ではありません。それも大半を初めの S に注ぎます。その息の勢いで、後に続く短母音 i を出し、子音の ng に繋げます。カンマ以降の sing a song を残った半分の息を使って作りますが、ここでも最初の s に残りの息の大半を注ぎます。
真似でなく、自らの肉体を意識的に使って音を作るのが未来塾の発声・発音の大原則です。さらに、「他者へ届く音声」、すなわち、「音と息の規定量」についても常に留意できるようになると、加速度的に発音が上達していくことでしょう。復習として録音した訓練内容を聞き直す際にも、規定量の観点からのチェックは勿論欠かせません。
<ナガちゃん>