担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
コースに会話のレッスンは一切入っていません。アルファベット26文字の音の作り方を改めて学び、その後に文字の連結(単語)、単語の連結(文)、文のまとまり(詩)、スピーチへと進みます。初級コースの最後には課題スピーチ(チャップリンの映画『独裁者』の最後に行われるスピーチを題材に、自分なりの音声表現をするのが課題です)の発表をします。
当塾のレッスンが最も向いているのは、英語の発音を一からやり直す、発音に磨きをかける、英語で堂々とプレゼンテーションを行えるようにしたい、このようなニーズへの対応です。もし受講生の主なニーズが日常会話の習得であれば、英会話学校の方をお勧めします。
わたしたちが目指すのは、不特定多数の聴衆に対し、自らの考えをスピーチとして提示する際の音の獲得です。日常会話で必要とする息や子音の強さを仮に1とすると、スピーチでは少なくともその3~5倍が要求されます。さらに、音声と同時に、スピーチの中味も明快にできるようロジックを鍛えます。
残念ながら当塾では、あまり褒めるということをしません。「息や声が足りないのでもっと出してください」とか、「口が横に開きすぎているので注意してください」といった、否定的なコメントが頻繁に出ます。トレーナーは受講生の意欲を削ごうなどとは全く思っていません。が、目指す到達点から見ると、足りないとの指摘が主にならざるを得ないのです。このようなレッスンは、受講生にとって必ずしも楽しいものではないでしょう。そこで受講の動機が重要になってきます。
もし日常会話の習得が主な目的であれば、会話学校の方が手っ取り早いでしょう。スピーチ音の獲得を目指す未来塾のコースに参加されても、「なぜこんなことまでしなければならないの?」となり、途中挫折の危険度が高まります。トレーナー、受講生双方にとって不幸な結末に終わる事態は、避けるのが賢明と言えます。