コメント、生かされてこそ

投稿日:2010年11月10日

コメントとは、トレーナーが受講生に対して出す事実の指摘や注意、助言や提案のことです。例えば、「舌が震えています」とか「口のたて開きが足りません」、「舌にもっと力を入れて、真っ直ぐ前に出してください」とか「息の塊(かたまり)を最初にください」等々です。訓練が進むにつれて、コメントの具体的な内容も変化していきます。
 
訓練用テキストには、コメントに関する注意点(受講生に対する)として、「コメントを情実抜きに分析し、次のステップの参考にすること。また、コメントを人格批判と取り違えないように注意」とあります。加えて、「コメントで分からない部分は、推察したり、そのままにせず必ず聞き返して、コメントの内容を確認すること。」
 
トレーナーは適宜コメントを出しますが、受講生がそれを冷静に受け止めたうえで、生かしてこそ初めて意味をもちます。どんなに的確なコメントであっても、受講生がその内容を理解できないとか、心理的に受け入れを拒否した場合には、宝の持ち腐れになります。トレーナーとしても残念であり、空しい状況です。
 
わたくしがトレーナーの見習いになって2、3年経った頃だったと思います。ある受講生の発表に対してわたくしがコメントし、さらに中津塾長がコメントを加えられたときに、「どんなに素晴らしいコメントが出されても、それを受ける側に受け入れていく準備がないと、無駄になってしまう」といった趣旨のことを言われました。
 
わたくしは自分自身のコメントが褒められて、嬉しくなったことを憶えています。しかし、塾長の発言のねらいは、わたくしのコメントを褒めることではなく、出されたコメントの内容を「よく分析し、生かすように工夫しなさい」ということを受講生に伝えたかったのだと思います。
 
コメントを出す側としても、受講生が前向きに受け取れるような提示の工夫が常に必要ですし、それには自分が初級や中級のときに体験したことを折に触れて思い返し、自らに引きつけてコメントする大切さを改めて肝に銘ずるのです。

<ナガちゃん>