ウラジオストク訪問記(2)

投稿日:2013年9月26日

ウラジオストク空港の駐車場で乗り込んだ車は日本製の大きな紺色のバンで、客用の座席が2列ありゆったりとしていて、乗り心地は快適でした。その車を操る井上さんが現れたのはとうに夜の9時を回っていました。約束の時間を30分過ぎても現れないので、事故にでも遭っているのではと心配になり、Cさんが井上さんの携帯電話に連絡してみると、「空港への道を間違えて、反対方向にしばらく走ってしまったが、気づいて戻り、向かっている」とのこと。

道を間違えた?! 旅行ガイドをされていてそんなことがあるのだろうか?不思議に思い、車に乗り込んでから尋ねてみると、「APEC首脳会議開催のために空港への新しい道路が建設され、できあがってから来たのは初めてだったため、夜の暗さも手伝って、分岐点で間違え、空港とは反対方向のハバロスクに向かって15分ほど走ってしまった」とのこと。

APEC(アジア太平洋経済協力)! そう、この年、その会議が開催されたのはウラジオストクだったのです。
私達がこの都市を訪れたのは2012年10月初め。APEC首脳会議はすでに1ヵ月ほど前に終了していたのですが、ロシア政府はこの国際会議開催を契機にウラジオストクに巨額の投資を行い、未だ終了していない工事がいたるところで行われていて、市内の道路も昨日通れたところが今日は通れなかったりと、どんどん変化していてドライバーにはやっかいなのだと、井上さんはぼやきます。なるほど、ウラジオストク空港の建物が新築みたいにきれいだったのはAPECのためだったのかと、今更ながら気づいた私でした。

異国の街を訪れた時に、そこで暮らす日本人が日本語でいろいろと説明してくださるのは有り難いものです。彼を1時間余りも待った甲斐がありました。

空港から市中心部までは約50キロの距離です。途中、軽い夕食をとるために井上さんが案内してくれた人気のレストランは、若者たちのパーティで大賑わい。古いディスコミュージックが大音量でかかり、大勢が踊っています。金曜や土曜の夜は遅くまで楽しむのが慣例だとか。
喧噪の中で、ピロシキとボルシチを味わいました。特にピロシキは絶品で、「こんなおいしいピロシキは初めて」と3人で感動。

食事を終えると、ホテルに行く前に水を買って行った方がいい、と言う井上さんの気遣いにより、遅くまで開いているスーパーマーケットに立ち寄りました。とても大きなスーパーで、陳列されているさまざまな異国の商品を見ているだけでもわくわくしてきます。味噌や醤油など日本食の材料が並べてある棚もあります。夜遅いのにも関わらず多くの人が買い物に訪れていて、もしかしたら昼の街も活気に溢れているのかもしれません。なんだか翌日からの観光に期待が高まっていきました。

(続く)

sakuma1

<ぽんちゃん>