担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
4月に開講した初級コースは後3回を残すのみとなりましたが、半分を過ぎた時点で「発想訓練: Yes-No Game」 を行いました。これは以後の「ディベート導入訓練」と合わせ、英語で要求される論理的思考を学ぶレッスンで、全て日本語で行います。出題者が想定した「物」について、受講生が順番に質問してできるだけ早く答えを探り当てるゲームです。今年の展開を見てみましょう。
(1)「それは動物か」/ Yes 、(2)「それは人か」/ Yes 、(3)「それはこの部屋にあるか」/ No 、(4)「それは男か」/ No 、(5)「年齢は30歳前か」/ No 、 (6)「日本人か」/ No 、(7)「実在するか」/ Yes 、(8) 略、(9)「生きているか」/ Yes 、(10)「歌手か」/ No 、(11)「アメリカ人か」/ No 、(12)「俳優か」/ No 、 (13)「政治家か」/ No 、(14)「結婚しているか」/ Yes 、(15)「女優か」/ No 、(16)「英国人か」/ Yes 、(17)~(19) 略、(20)「エリザベス女王か」/ Yes。
5名の受講生が参加しましたので、丁度4周したところで正解に至りました。
岡目八目といいますか、質問と回答を上記のように一覧すると、いくつかのことが見えてきます。6番目まではほぼ順調に詰めができています。「女性で年齢は30歳以上」との像が浮かび上がってきました。願わくは、ここで (5) の年齢か、(6) の国籍のどちらかを中心に、もっと連携して詰めができればよかったわけです。(11) でアメリカ人が、(16) になって、ようやく英国人がでてきます。しかも整理して気が付いたのですが、国籍を尋ねているのは同一の受講生ですね。すなわち、グループとしての連携ではなく、あくまでも個人プレーの範囲で進んだことがわかります。
もう少し回答を見ていきます。他の人の質問とそれに対する回答 ( Yes/No ) が頭に入っていれば省けた質問に (9) と (15) があります。(7) で「実在する」とわかりましたので、「生きているか」は不要でしたし、(12) で「俳優ではない」とわかったのですから、「女優か」は余分でした。
わたくしが初級の時に経験した発想ゲーム、何とか質問をひねり出すのに四苦八苦で、他の人の質問とそれに対する回答を聞いて、得られた情報を頭の中で整理するまでは全く手が回りませんでした。質問自体「それは柔らかいですか」といった、曖昧なものを発する始末だったことを憶えています。
このようなゲームを通してわたしたち日本人の思考傾向に気付き、論理面の弱点を補っていくことは、異文化コミュニケーション力向上にとって欠かせません。