担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
上記設問に対する答えは、各単語に入っている文字 a の発音です。すなわち、発音記号 [ae] で表示され、a 「ア」と e 「エ」の中間的な音とされるものです。さて、今回のブログで述べたいことは、ここからスタートします。多少変則的な展開になりましたが、ご容赦ください。
まず、未来塾のレッスンでは発音記号を一切使いませんが、この a と e の中間音も採り入れていません。通常の a 「ア」で発音します。何故でしょうか? それは、日本人の口形にこの中間音がそぐわず、無理に出すと首を絞めつけられたような、潰れた耳障りな音になるからです。
日本人の口形は白人に比べ、おしなべて周りの肉がたっぷりしているため、左右、横に広がりやすいこと。また、日本語の場合、子音単体での鋭い音が存在しないため、日本人が上記の単語を発音すると、どうしても a の母音部分の音程が高くなること。このような肉体的、音声的な違いがあるため、a と e の中間音ではなく通常の a 「ア」で発音した方が、誤解を招かない、聞きやすい音を作れると考えます。
上記に述べた「耳障りな音」の具体例として、わたくしの個人的な体験を一つご紹介します。都内の電車の中、放送が流れました。録音テープで、同じ日本人が、まず日本語で、続いて英語でアナウンスしたものでした。主要駅に近づき、鉄道各線への乗り換え案内で、接続詞 and が数回使われました。「~線と~線」への乗り換えと言う意味です。and の冒頭部分が発音されるたび、「ぎゃー」といった悲鳴に近い音声が発せられます。たかが接続詞に何事か、と思いました。多分、話し手の頭の中には、and の冒頭は aと eの中間音で出すべきとの概念があるからではないかと想像した次第です。
未来塾では、日本人の顎骨など肉体的な特徴を考慮し、また(息や子音といった)日本語の発声との違いを前提に、発音記号には頼らずユニークなやり方で英語の音作りを訓練します。今回取り上げた a と e の中間音の他に、子音の w、 f と v, th などの作り方にそのユニークさが顕著に表れていると思います(*)。
* W と TH については下記ブログをご参照ください。
「野獣の唸り、W音」(2011.2.10掲載)
「鏡が曇るTH」(2011.7.9掲載)