担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
毎回120分のレッスンの内、最初の10分程度は「からだほぐし」です。身体をリラックスさせて、息が入りやすくします。具体的な内容は担当するトレイナーに任されています。よくあるパターンとしては、からだ全体を上下に数回連続的にゆすり(軽くジャンプ)、次に肩や上体の左右側面部をストレッチし、さらに胸部や背面を緩めていきます。
肝心な点は、動作の最中に決して息を止めないこと、ラジオ体操のように号令や音楽に合わせて一、二、三…とやらないこと、あくまで自分のその時の状態に合わせて行い、一週間の疲れを取り除きながら、からだの調子を確認することです。例えば、首を軸にして頭を回す際も、頭の重さを上手に利用して、できるだけゆっくりと回すように指導します。
この「からだほぐし」に続いて、息出し、声出しと行い、発音訓練前のウォ-ム・アップを終えます。発音訓練において、この「からだほぐし」を重要ととらえる人は少ないかもしれません。しかし、実はこの10分に加えて、その後の息出しと声出しを含めた約20分が、異文化を乗り越えるのに欠かせない準備工程なのです。
100メートル・ダッシュをする時、いきなり駆け出す人はいません。足首等をよく伸ばし、また少し助走をするなど必ず準備をします。発音訓練では、アタックといって音(例えばA)の出だしに、息の塊を出すことが要求されます。その息に声も乗せます。日本語とは異なった息遣い、発声が必要です。そのための周到な準備が欠かせません。準備不足だと、喉を痛めたりしますし、英語のリズム作りができません。
やっている内容は簡単で、一見時間つぶしのようにも見える「からだほぐし」ですが、決して軽視してはいけません。積極的に取り組み、自分の体調に耳を傾けるチャンスとして利用する。そしてからだの各部を動かしながら、痛い、気持ちいい、まあまあなどの反応を楽しむ感じでやれると、その日の訓練成果はあがるでしょう。
<ナガちゃん>