日本のサバイバルのために

投稿日:2013年3月12日

今から20年少し前、日本でバブルがはじけ始めたころ、中津燎子塾長が次のようなことを言ったのを憶えています。「日本にお金があるうちに、将来の準備をしておく必要がある。お金が無くなったら見向きもされなくなるので。」それから時が過ぎ、いわゆる「失われた20年」を経て、日本の国力は低下し、いろんな面で諸外国に追い抜かれました(*1)。残念ながら、「お金があるうちに」「無くなった時」の対策が間に合わなかったことになります。

中津先生が言いたかったのは、バブルで象徴される金満日本の限界が見え、何とか富が無くなる前に、将来お金が無くても外国からリスペクトされる日本と日本人になっておく必要性を指摘していたと思います。その中には、当塾が訓練目的としている、異文化コミュニケーション能力の向上も当然入っていたことでしょう。当時、シンガポールなどで必死になって展開しようとしていた、学校での英語教育の大変革も含まれていたかもしれません(*2)。

隣国韓国との対比において、国際社会での存在感の大きさを見てみると、この20年間で日本は影が相当薄くなり、逆に韓国はその存在感を大いに増したように感じます。例を2つ挙げます。一つは、国連の事務総長に韓国人パンギムン氏が就任したこと。それと、先の大統領選挙で、女性のパククネ氏が選ばれたこと。異論はあるかもしれませんが、わたくしは諸外国から見て韓国は理解できる国であるのに対し、日本は総理大臣がコロコロと変わる理解しにくい、男性本位の国と映るに違いないと思います。

日本は高速道路のトンネル設備の崩落に象徴されるように、国力の低下とともに、全体の箍(たが)が緩んできたのでしょう。今後、存在感を少しでも回復し、国際社会で孤立しないように全力を挙げて取り組まないと、国としてサバイバルできないかもしれません。サバイバルに欠かせない施策の一つとして、英語教育の大変革があると思います。シンガポール等における英語教育の大変革とその成果を参考にしつつ、英語教員の再教育を音声と論理思考訓練を中心に行っていく必要があるとわたくしは確信します。その際、未来塾が今日まで培ってきた術(すべ)が相当役立つはずです(*3)。

*1、別表「世界の経済規模」「世界の港湾ランキング2011年」参考例として

*2、中津燎子著『英語と運命』(三五館)P.386—P.388

*3、参考ブログ: 「今やりたいこと」 (2012.11.27)

世界の経済規模 世界の港湾ランキング
(コンテナ扱い量)
市場レートベース (10億ドル) 2011年
2000年 2011年 順位 都市名
GDP シェア GDP シェア 1 上海
世界 32,306 xxx 69,899 xxx 2 シンガポール
  大中華圏 1,788 5.50% 8,268 11.80% 3 香港
    中国 1,198 3.70% 7,298 10.40% 4 深セン
    香港 169 0.50% 244 0.30% 5 釜山
    台湾 326 1.00% 466 0.70% 6 寧波
  シンガポール 94 0.30% 260 0.40% 7 広州
    日本 4,731 14.60% 5,867 8.40% 8 青島
    米国 9,951 30.80% 15,076 21.60% 9 ドバイ
    EU27 8,503 26.30% 17,611 25.20% 10 ロッテルダム
11 ハンブルグ
12 高雄
13 アントワープ
14 天津
・・・ ・・・
27 東京
40 横浜
47 名古屋
48 神戸
  出典:寺島実郎著『大中華圏』(NHK出版) P.32、P.36

<ナガちゃん>