相手(聞き手)無視の早口

投稿日:2010年11月17日

未来塾に入る前のわたくしは、日本語でも、英語でも、早口はいいことだとの概念をもっていました。勤め先で人から「早すぎるので、もう少しゆっくり話して」と言われても意に介さず、分からないのは「聞き手に問題あり」という受け止め方で、今考えると実に傲慢な心構えでした。
 
「早口はいいこと」に少し疑問を抱いたのは、塾に入って一年ほどしてからでしょうか。英語の文章を読み始めると、「早過ぎるので、もっとゆっくり読むように」とのコメントがトレーナーから度々出ました。増幅法と呼ぶ方法で、唇や舌を含めて、自らの発音器官を総動員して英語音を作りますが、初期段階では当然口が回りません。急がずに一つ一つ作る以外ないのです。
 
また、ブック・レポートという課題を通し、日本語でのプレゼンテーションをしますが、聞き手に発表内容を理解してもらうには、話す速度が一つのキーポイントであると学びます。「早口は果たしていいことか?」自分への問いかけがはじまりました。
 
その結果、次の二点に気づきました。
(1) 早口は単なる自己満足に過ぎない。
(2) 相手(聞き手)との接触を早く断ち切りたいとの気持の現れである。
 
少し補足します。(1)ですが、聞き手の理解度合いを考えずに、自分の主張は効率的に述べたつもりになっていた。(2)について、実際には、自分の考えに自信が無く、早く切りあげたいとの潜在意識が働き、話す速度が増していた。心の底では相手とのコミュニケーションを避けていたのでしょう。
 
早く話す傾向がわかっても、治すのは容易ではありません。わたくしの場合、上記の気づきから少し時間が経った頃、話している途中でも「あっ、今早くなってきたな」と感じ、その時点で速度を落とせるようになりました。
 
早口は「いいことだ」から「よくないことだ」への認識の変化を経て、相手無視に繋がる早さから、聞き手が受け止められる速度へ自己調整する。他人とのコミュニケーションを図る上で、わたくしにとって一つの大きな進歩でした。
 

<ナガちゃん>