担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
今回のブログのタイトルについて、これだけでは何を言っているか皆目お分かりにならない方が多いと思います。これは中津先生が晩年に講演会などでよく口にされていた表現です。私なりに解釈しますと、「英語で話をするとき、発音と文法はもちろん大切だが、最も重要なのはその中身である」ということになると思います。ここでの数字には特に科学的な根拠があるわけではありませんが、重要度の目安として捉えればいいでしょう。
発音と文法を合わせたもの(100)の更に2倍重要な中身とはどのようなものでしょうか。それは、伝えたいメッセージが明確であり、それが論理的にしっかり構築されていて、聞き手が納得いくに値する証拠付けができているということだと思います。このような中身を構築できるよう、未来塾では、「論理的思考の訓練」をプログラム化し、表看板の「発音」と共にもう一本の柱に謳っています。
ご承知のように、日本の文化的土壌としては、自己主張よりもむしろ譲り合いの精神を尊ぶ傾向があります。相手がどう思うか察して、それをあらかじめ考慮に入れて発言や行動することは昔ほどではないにしても、日本人にまだ根付いているのではないでしょうか。逆に言いますと、自己主張を抑えて相手方に自分の心情を察してもらうことを期待する、いわば相手への甘えを持つ傾向があります。日本人同士の付き合いであればそれで済むかもしれません。
いずれにしてもわたくしがここで強調したいことは、論理重視の欧米文化と付き合っていくには、そのような甘えは通用しないと考えるべきであり、きちんと自己主張する、言い換えれば論理的・客観的にものを考え、それを他人に対して説明する訓練が必要で、それもできるだけ若いうちにすべきであるという点です。そして手前味噌になることを覚悟で述べますが、ディベート手法を取り入れている未来塾のプログラムは、まさにそのような要求に応えると同時に、受講生が無理なく段階を踏めるよう工夫されています。
今年の中級生6名は、すでにディベート手法の訓練段階を終えて、現在自作文の作成に取り組んでいます。最後の、そして最大の難関です。自分を前面に出すこと、自らの主張を他人である聞き手に納得させるに足る証拠をつけて明快に述べることが求められます。ポイントは、如何に自分に引き付けて主張できるかです。他人事でないオリジナルの自分を示すこと、できそうで実際には簡単ではありません。残り三回のレッスンで何処まで進めるか、トレーナー側の期待も大きくならざるを得ません。そのため出すコメントやアドバイスの内容が時としてかなり厳しくなります。
皆様、良い新年をお迎え下さい。