担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
チャップリンが制作・出演した映画「独裁者」のスピーチからまた引用します。
“We all want to help one another. Human beings are like that.”
この文を言う場合、貴方のお持ちになる息と声(特に息)を全部で仮に100とすると、冒頭にどの程度の配分をされますか。
我が訓練では、目安ですが、50位が冒頭のWに置かれます。Weの次に息の配分が多いのは、二番目の文の冒頭、すなわちHumanのHです。20から30程度でしょうか。残り約20少々で全体を繋ぎ、最後のthatまで一気に言い切る感じです。
文の冒頭で、このように思い切りよく文全体を繋いでいくための、一種のエネルギー作りができないと、英語本来のリズム作りができません。早口に言えばよいということでは決してありません。一つのイメージとして、100m Dashのスタートの踏切を思い浮かべてください。神経を集中し、全エネルギーを利き足の裏、つま先部分に集めて蹴る、あの瞬間に似ています。
冒頭(We)で思い切りよくスタート、後はそのエネルギーを利用して、必要な口形を次々に作りながら(「口形移動」と私たちは呼んでいます)、息に声を乗せる感じで文末まで繋げます。舌や唇も、必要な音声を作るためにフル活動することは言を俟ちません。
日本語では、通常これ程までに、息と声が冒頭に集中して出されることはないと思います。従って、日本人が英語の音声を習得する際には、この冒頭部分作りの思い切りの良さをよく認識し、そのスキルを磨くことがどうしても欠かせません。