語感の大切さ

投稿日:2010年9月24日

例として“kill”という単語をとります。これをいわゆるカタカナで発音すると、どうなるでしょうか。音声としては、相手を死に至らしめる殺意は全く感じられないものになるはずです。英語での語感作りのポイントは、声の強さでも、まして声の大きさでもありません。勝負は、最初の“k”の子音としての息の強さなのです。
 
語感に敏感な方がいて、“kill”の殺意を出そうとすると、おそらく十中八九、通常の日本人であれば二番目の“i”が声高くなり、上がるはずです。極端な場合、“i”の声の大きさ故に、最初の“k”が全く聞こえなくなる恐れもあります。「イ」ばかり大きく聞こえる状態です。
 
大切なのは、一にも二にも、“k”を強く鋭い息で出すことです。続く“i”は短母音で鋭く瞬間的に作り、語尾の“l”に繋げます。“ll”ですので、“L”二つ分の舌の押さえが必要です。そこでようやく「殺意」が相手に届く、つまり“kill”としての語感が出ます。
 
我が塾の訓練で使うスピーチの定番“Dictator”(*)には、次のような単語が出てきます。
kindness,  gentleness,  perish,  power,  democracy
 
また、現在進行中の中級コ-スでは、Martin Luther King牧師のスピ-チ
“I Have a Dream” を取り上げて訓練を行っていますが、それからもいくつか拾ってみましょう。
difficulties,  justice,  vicious,  hope,  faith,  beautiful
 
これらいずれの場合も、聴衆へスピーチの内容をきちんと伝えるには、各言葉の持つ語感が欠かせませんが、その要求される語感が出るか否かは、90%近く最初の子音にかかっていると言っても過言ではありません。
 
大半の日本人にとって英語は外国語ですが、誰でも訓練を積むことで、英語本来の持つ語感作りができるようになります。
 

(*)“Dictator”は、チャップリンの映画『The Great Dictator(独裁者)』の最後に行われるスピーチのことを指す

<ナガちゃん>