担当しているトレーナー達が、訓練や日常の中で気づいたことを綴っていきます。
当塾OBのYさんから届いた今年の年賀状に、次のような書き込みがありました。
「反知性主義がのさばる今こそ、未来塾のような リベラル・アーツが日本人にとって真に必要だと思います。」
この書き込みを見て、わたくしは「さすがYさん」と思いました。Yさんは、塾の活動から離れて20年以上になりますが、在籍当時に日本語ディベート導入訓練の手法開発にかかわった中心メンバーの一人でした。中津先生が意図した訓練の神髄を誰よりもよく理解されているようにわたくしには感じられます。
世界的に日々余りにも多くの事件等が起き、何が正義か、各事象をどうとらえ行動すべきかわからないような状況下にあります。日本でも民は阿呆とばかりに、数を頼んで強権的にゴリ押しの政治を進めようとする傾向があるように見えます。そのような時こそ、人任せではなく、事実に基づき自らの頭で考え行動する必要があるのではないでしょうか。その術(すべ)を当塾の訓練メソッドは、それを真に必要とする人に与えてくれるものとYさん同様信じます。
「リベラル・アーツ」の言葉に感銘を受けているわたくしの目に「アートと生きる」の文字が飛び込んできたのは、元旦から間もない新聞のエッセイ欄*でした。書き手は104歳の日野原重明さん(聖路加国際病院名誉院長)です。そこには日野原さんの座右の銘も紹介されていました。
「医学は科学に基づくアートである」
これはウイリアム・オスラーという博士の言葉だそうです。アートは芸術、美術だけでなく、優れた腕前や熟練という意味もあると日野原さんの解説がついています。
「アート」と「アーツ」。単数と複数の違いはありますが、単なるハウツー式に英語の発音を磨き、英語のロジックを身に着けるというのではなく、異文化の壁を乗り越えて共存・共栄の世の中をつくり、その中で日本人が生き残り、自分たちの役割を果たすといった大局的な視点に立ったうえで、具体的に行動する方法(アート)を中津先生はわたくしたちに残してくれたのだと、改めて思うのです。正月早々、誠に手前味噌的なブログで恐縮ですが…。
*詳しくは2016.01.09付朝日新聞土曜版「be」をご覧ください。
<ナガちゃん>