日本式流暢英語が通じないのは?【中津燎子のエッセイ】

日本観察日記

Alphabetの音は変化する

英語のアルファベットは日本語のアイウエオと根本的にちがう。
アイウエオのアは、文章のどこに行ってもアと言う音である。しかし英語のAは、その行った場所と前後の文字とのつながりで、アになったり、エイになったり、エアになったり、変化する。
アルファベットの文字26個のうち、ただ1つの音しか出さず、どこに行ってもその音しかないと言う音は大体12個であって、それ以外の14個は変化がはげしい。単音である筈の12個ですら、アルファベットでは、ちがう音を教えている。
たとえば、Bだ。Bの字が持つ音は、ブッと言う破裂音ただ1つであるがアルファベットでは、ビィ、と教える。Dもそうだ。Kもそうだ。アルファベットで、Dをディーと教えても実際上の言葉ではDOGを、ディーオウグ、とは決して言わない。この複雑さは日本語の漢字に匹敵するのではなかろうか。日本語の水を「みず」と「すい」に読みわける訓練に似たものがアルファベットの訓練にも必要だ。

<著作「なんで英語やるの?」254頁より>