日本式流暢英語が通じないのは?【中津燎子のエッセイ】

日本観察日記

コトバと発音と呼吸

世界中に、どれだけの数の民族が住み、どれだけの数の言語が存在しているかは、克明に調べたことがないのでわからないが、まあ、ざっと数えてみると、主要各国で行けば百以上になるのではなかろうか。
英、独、仏、伊、スペイン、ポルトガル、ロシア、中国、韓国、蒙古、中近東、東欧、アフリカ、全く限りがない。その言語の音声をざっときいてみると、かなり破裂音のような強い息を出す。従って強い音をもつ言語が多い、と思う。

それにくらべて、我が日本語ははっきりちがう。あまりわめく必要がない。わめくよりむしろ、静かにやさしい音を出す。舞台人だとか、歌手、政治家以外は、格別、日常生活に声を強くする必要がない、と言うより、日本語の発音に関する限り、まして呼吸に関する限り、ふつう一般人は全く念頭になく、学校でもそんな事を教えない。何しろ日本は気候もよく単一民族で、同じ言語で、せまい所で仲よく一緒に暮らしていたためか、あまり、わめき叫び、主張する、たけだけしい文化が生まれなかったのだろう。従って、大して呼吸や音に気を使わずに、言語が発展した行ったような感じがする。

<著作「なんで英語やるの?」24頁より>