日本式流暢英語が通じないのは?【中津燎子のエッセイ】

日本観察日記

なんで英語が通じないの?

” I just can’t hear you.”
英語を話していて、「I beg your pardon?」と何度も聞き返されたことはないですか? そんなとき、「私の英語、通じない…」と思ってしまっていませんか?

実は、日本人が自分の英語が通じないと思うケースのうち、相手に聞こえてないっていうことが非常に多いんです。ほとんど聞こえてないんです。
これには、声が小さい、口も舌も動かない、ボソボソと早口である、という3つの要素が関係しています。
これは日本の沈黙文化そのものなんですよ。大きな声を出してはいけない。はっきり言ってはいけない。なるべく表情を動かさない。何年か前に『男は黙ってサッポロビール』というコマーシャルがありましたけど、沈黙に美点を見出すような文化なんですね。この3つの要素が揃いますと、結果として相手に聞こえないんです。

聞こえないということと、言っている英語がわからないということには天と地ほどの開きがあります。それを皆さん混同してしまうんですね。たとえば、I beg your pardon? って聞き返されるとしますよね。すると、「あ、私、文法が間違ってたんだわ~」と思い込んでしまうんですね。そして、聞き返されたという事実に大変ショックを受けて、心理的に不安定になる方がとても多いです。
私が観察するに、相手に音が届いてないってことが発想外なんです。そうじゃないですか?100マイルも外なんです。それに気がついたので、相手に聞こえる声、あたりまえに聞こえる声を出してもらうために、未来塾では増幅法という訓練を行なっています。

日本の沈黙文化は、日本人同士の間だったら以心伝心で通じるんです。でも、日本以外のほとんどの国では「相手にあたりまえに聞こえる声で話す」文化を持っています。ですから、沈黙文化のままで他の文化と通じ合うっていうのは、ボディ・ランゲージでも添えないことには不可能だと思います。