中津燎子(なかつ りょうこ)氏について・著作リスト

ここでは、当塾の創始者で、塾の名称にもなっている中津燎子氏について、簡単な年代別経歴と解説、さらにその著作リストをご紹介します。

年代別経歴
1925年 10月、博多に生まれる
1928年 父の仕事の関係で、母、兄と共に旧ソ連のウラジオストクに渡る
1937年 帰国し、福岡市に住む
1948年 GHQの電話交換台(福岡)に勤務。英語を飯の種とする
1956年 留学の機会を得て渡米
1961年 米国で日本人と結婚
1965年 帰国後、盛岡市に住む
1974年 『なんで英語やるの?』を著し、第5回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。同年、夫の仕事の関係で大阪府に転居する
1975年 発音研究会(英語教師を対象とした発音訓練)活動に尽力する
1982年 「未来塾」を主宰
1999年 「未来塾」を閉じる
2010年 12月、脳梗塞を発症
2011年 6月歿(享年85歳)

中津燎子先生のルーツは3歳から12歳まで過ごしたロシアにあると言えましょう。12歳の帰国子女にとって、日々接する日本人と日本社会はカルチャー・ショックの連続でしたが、それらとの対峙と葛藤の中で、戦時下を生き抜いていかざるを得ませんでした。

戦後、一家を支えるためGHQの電話交換手となり、文字通りABCの発音にまで遡り音を磨き、仕事を通して「ケンカに勝てる」いわばディベート的な交渉力をも身に付けます。その後米国へ留学し、約10年間生活。未だ人種差別が激しい白人中心社会の中でサバイバル。アルバイトで学費を稼ぐ厳しい生活をし、当地で会社員として働きました。そのとき、フォークソングを習うなど、遅まきながら青春とも言える時期を過ごします。

結婚して数年後、夫の赴任に伴い、帰国。日本の学校における「音声軽視」の英語教育に出会い衝撃を受け、家事の傍ら英語塾を開きます。その体験をまとめ、『なんで英語やるの?』として出版。ベストセラーとなり、日本の英語教育界に一大議論を巻き起こしました。

英語教師達により「発音研究会」が立ち上げられ、請われて発音指導を行い、本格的に日本人に向き合うようになります。この会が育ち、教師達が教え合うシステムが軌道に乗った頃、機を得て、一般成人向けに英語の発音と発想訓練(異文化対応訓練)を目的とした「未来塾」を開講。1982年からの二年間に、大阪、名古屋、東京と次々に教室を開きました。他所でも英語指導に関わりました。

その後17年間、自らを異文化対応訓練の題材とし、ハード型文化のレッスンを貫きました。閉塾後、東京未来塾の講師が中津方式の訓練を引き継ぎ、「中津燎子の英語未来塾®」として活動を開始しました。最初の数年間は、中津先生も時々上京して訓練を担当し、衰えぬ鋭い指導を披露しました。

体力的に上京が困難になっても、レッスン活動への継続の志は強く、地元近くの小学校の学童活動で教えたり、自宅で大阪未来塾の元受講生を対象にやり直し訓練を行ったり、地域でレッスンの希望者を募ったりと、脳梗塞を発症するまで、常にできることを模索し実行しました。

『なんで英語やるの?』(1974年発行)の著作は、エッセイスト中津燎子の出発点ともなりました。その後『呼吸と音と唇と』、『異文化のはざまで』…と15年間に10冊を世に出します。それから16年の沈黙を経て、『英語と運命』(2005年発行)を、亡くなる前年に『声を限りに蝉が哭く』(2010年発行)を書き上げました。

著作リスト

表紙 タイトル 出版社 出版年
声を限りに蝉が哭く―全部話して死にたいね! 声を限りに蝉が哭く―全部話して死にたいね! 三五館 2010.8
英語と運命―つきあい続けて日が暮れて 英語と運命―つきあい続けて日が暮れて 三五館 2005.12
風のシカゴ―シェリダン・ロード物語 風のシカゴ―シェリダン・ロード物語 情報センター出版局 1989.11
Butとけれども考 Butとけれども考 講談社 1988.5
未来塾って、何? : 異文化チャレンジと発音 未来塾って、何? : 異文化チャレンジと発音 朝日新聞社 1986.1
母国考 母国考 情報センター出版局 1984.9
子どもに外国語はいらない : 地球時代の井戸端会議 文藝春秋 1981.5
こども・外国・外国語 : ある日とつぜん英語になってしまった子 こども・外国・外国語 : ある日とつぜん英語になってしまった子 文藝春秋 1979.11
再びなんで英語やるの?

再びなんで英語やるの? 文藝春秋
文藝春秋
ブックウェイ
1978.7
1983.2
2022.12
異文化のはざまで : 英語と日本人の周辺 異文化のはざまで : 英語と日本人の周辺 毎日新聞社
三修社
1976
1983.12
呼吸と音とくちびると 呼吸と音とくちびると 午夢館 1975
なんで英語やるの? なんで英語やるの? 午夢館
文藝春秋
ブックウェイ
1974
1978.4
2017
なんで英語やるの?