耳の力

投稿日:2010年6月6日

    
未来塾の発音訓練で最も鍛えられる身体の器官はどこでしょうか? これは、難問であり同時に愚問でもあります。個人差があるでしょうし、客観的に器官別の鍛錬の成果を測る基準がないからです。只、一つ言えるのは、舌や口周りの筋肉強化ばかりでなく、耳も鍛えられるということです。音を聞き分ける力といっていいでしょう。
  
アルファベット26文字の発音の仕方を習い終えると、早速アルファベット回しに入りますが、頼るのは自分の耳だけです。耳を澄まし、他の人が発した音を捉え、自分の順番がきたら間髪を入れずに出す。口を使うのは、この一瞬だけです。あとは、次に回ってくるまで、耳が主役です。
  
次に、カタカナになりやすい108個の単語の発音を習い終えると、早速単語回しをしますが、ここでも主役は耳です。この点、受講生は余り意識していないかもしれません。テキストには単語と絵がセットで示されていて、単語回しの初期の段階では、指で追っていくこともあります。それでも、主役は目でも口でもなく、耳です。他の人が発する音声に注意を集中させる事が大切です。
   
未来塾では「聞き流し」が許されません。例えば、詩やスピーチの発表の際、各受講生は自分の発表のほかに、他の受講生の発表内容に対して必ず感想をメモ書きさせられます。聞き流しをしないためです。たとえ、その中身が「良かった」の一言でもかまいません。できれば、どの部分がどのように良かったのかを述べられれば、もっといいわけです。
  
訓練を積み重ねる中で、何事も聞き逃さない、如何なる微妙な変化をも瞬時にとらえ分析できる耳の力が養われていきます。わたくしの場合、初級の後半(訓練をはじめて半年ほど)になって、話される英語の音が下がっていくのを、実際に耳でとらえることができました。テレビでアメリカ政府高官(女性)が話している時の体験でした。耳の力がつくことで、自他の音声表現を分析深くとらえられるようになり、結果として自らの表現の幅が広がります。財産としての耳の力です。
  
このブログの原稿を書いているときに「鳩山首相辞任」のニュ-スが流れてきました。そして、「国民のみなさんが徐々に徐々に聞く耳を持たなくなってしまった」という弁も。「聞く耳」とは何か。また一つコラムが書けそうです。でも、ここで述べた「耳の力」は、事実を事実として(感情抜きで)とらえ、しかもその話者の本気度をも見抜く(聞き分ける)力を意味します。そこまで音声は分析可能ですし、またそれだからこそ「耳の力」を鍛える価値があるのではないでしょうか。
  

<ナガちゃん>