Pで相手をぶっ飛ばす

投稿日:2010年4月14日

アルファベット26文字の中で、発音される際に最も破裂度が高いのは何かと問われれば、わたしは躊躇無くPを挙げます。未来塾に入る前ですが、テレビで英国のロイヤルシェ-クスピア劇団の演じる劇を見ていたときのこと。演目は憶えていませんが、ある女優がPで始まる台詞を言ったのですが、そのPの破裂の凄さが今でも耳に残っています。その場すべてを支配するような強さが印象的でした。

 

Pはアルファベット順でAから数えて16番目ですが、塾生にとってはもっと遙かに身近の存在です。それは未来塾の訓練で、文字としても単語としても、最初に取り上げるからです。なぜ最初か?おそらくカタカナ音との違いが鮮明だからだと思います。

 

さて、Pの原音(*)の作り方ですが、上下の唇を合わせ、強いプレッシャ-をかけます。次に、今ある息を両唇の間から強烈にはき出します。あたかも柿の種のようなものを唇の間に挟み、それを遠くへ飛ばすが如くです。決してカタカナの「プ」では表せません。息がはるかに強く、また子音のみで一切語尾に母音(「ゥ」など)は入らないからです。

 

出来具合はいかがですか。ともかく強い破裂がPの命です。塾のテキストには、Pで始まる単語が4つ(park, pen, pig, pot)載っていて、これらを使って訓練を進めます。いずれもPの破裂エネルギ-をうまく利用すると、一拍で作りやすい単語ばかりです。

 

語頭がPの単語で、その破裂で語感が増し、言葉自体が生き生きしてくる代表例に、わたしはPowerを挙げます。破裂の強さは、使われる文脈に応じて調整します。通常の日常会話では「相手をぶっ飛ばす」Pは不要でしょう。しかし、多数の人を前にしたスピーチでは、時には強烈なPを入れると力強さが増し、聴衆に与える印象が大きく違うはずです。

 

(*)各アルファベットが持っている音のことを未来塾では「原音」と呼んでいます。例えば、Parkは、P、A、R、K、それぞれが持つ原音の組み合せで発音されます。

<ナガちゃん>