賛成か反対か

投稿日:2019年7月16日

突然ですが、みなさんは「選択的夫婦別姓制度(法務省では「選択的夫婦別氏制度」というそうです)」に賛成ですか、それとも反対ですか。そして、その理由は何ですか?

私たち日本人の多くは普段、あることに対して「それはいいな。」とか「そんなことはないんじゃないかな。」といった漠然とした「感想」はもっても、明確に「賛成」または「反対」の立場を意識してとることはあまりないのではないでしょうか。まして、その理由まで考えることはさらに少ないように思います。

日本の社会でコミュニケーションを行う場合には、お互いが察しあったり、あえて明確に指摘したりすることを避けたりする場合が多いので、ことさら意見や立場を明言しなくても特に問題はないのですが、英語でのコミュニケーションでは立場や意見を明確にする必要が出てくる場合があります。そして、立場を明言したら、その理由も述べなければなりません。

未来塾初級コース第10回目のレッスンでは、前半に音声表現IIの練習をしたあと、「ディベート導入訓練」の三つ目、「賛成か反対か」のカリキュラムを実施しました。前回の「ニューズレポート」と同様に、トレーニーに記事をお配りして、その概要と意見を発表していただくのですが、前回と違うのは、今回は、その記事の主張や内容に対して、明確に「賛成」または「反対」の立場をとって明言することが求められます。そして、その立場に説得性を与えるために理由を述べなければなりません。

記事の概要をまとめるにあたっても、まずご自身の立場を明確に決めると、それに基づいて内容を整理することができると思います。「賛成」なり「反対」なりご自身の主張を支えるのに有効なことを軸に全体を整理し、しかも記事を持っていない聞き手にもわかりやすくまとめることが大切です。また、未来塾の訓練の特徴として、何かご自身と関わらせて意見を述べることが求められます。そうすることで、より説得性が増します。そして、明瞭な音声で、聞き手に分かりやすいスピードで発表します。

今回お配りした記事の中にも冒頭で挙げた「選択的夫婦別姓制度」に関する記事がありました。発表したトレーニーの方は、立場を明確にされ、理由もご自身の体験に基づいた説得力のある説明をしてくださいました。

さて、みなさんは、この「日本は選択的夫婦別姓制度を導入すべし」という論題に対して、「賛成」ですか、それとも「反対」ですか。よろしかったら、どちらかの立場を取って、他人に説明するつもりで、その理由を考えてみてはどうでしょうか?

 

<イノモン>

ニューズレポートに必須の「自分の視点」

投稿日:2019年7月9日

先のイノモンのブログでもお伝えしましたが、今回のトレーニーの方々のニューズレポートの発表は、概要は分かりやすい言葉でまとめられ、ご自分の意見をきちんと表明されたものでした。それは、どうしてか? そのことについてお話ししたいと思います。

レッスンの最後にお一人お一人に感想を聞きました。その時、一人の方から「自分の視点で(記事の概要を)まとめていいのですか?」という質問がありました。レッスンの進行役を務めていた私は即座に「結構です。ご自分の視点でまとめていいんですよ。」とお答えしました。なぜなら、「自分の視点」があるからこそ、情報が整理され、記事の内容の大枠が見え、それを受けて、意見が作られるからです。

その質問をされた方は、「自分の視点」だけで概要をまとめると情報が不足、または偏るのではないかと懸念されているようでした。その懸念は無用です。

なぜならば、発表の後に、2分間の質疑応答時間が設けられていて、概要について情報の不足や偏りがあれば、たいていその質疑応答の中で確認されるため、他の聴衆も気づくことができるのです。なお、質問は他のトレーニー1名がその役割を受け持ち、発表内容の不明な点を明らかにすることのみ、というルールです。

「自分の視点」がニューズレポート訓練のスタートです。

私自身が、初めてニューズレポートに挑戦した時の発表は失敗でした。概要は記事にひきずられて、記事の内容を読み上げ、時間切れで自分の意見はほとんど言えませんでした。それは「自分の視点」をもっていなかったからです。

今回のトレーニーの皆さんは「自分の視点」をもって、ニューズレポートに挑戦されたからよい発表になったと思います。

<オサリン>

 

ニューズレポート

投稿日:2019年6月30日

私たち未来塾のトレーナーが中津燎子から訓練を受けているときに度々聞かされていたことの一つに次のようなものがあります。「英語修得において、発音の仕上がりは50%でもよいが、文化については200%の理解が必要である。」ここで言う文化というのは、もちろん建造物や美術品といったものではなく、言語文化、すなはち、英語における論理性、世界(もの)のとらえ方、その提示のし方、といったような意味です。どんなに発音が良くても、内容 (意見) がなければ、そしてそれをわかりやすく伝えられなければ意味がない、というわけです。そして、それを学ぶために中津が私たちに課したのは、ディベートでした。

ディベートというのは、英語の言語文化におけるエッセンスが凝縮した形でゲーム形式となったものです。すなはち、一つの論題に対して「肯定側」「否定側」の立場に分かれて、議論を組み立て、必要な証拠で裏付けし、聴衆の前で議論して、どちらがより説得性があるかを競うものです。各スピーチには双方に同じ時間が与えられ、しかも短い時間です。その中で、言いたいことを要領よく整理してわかりやすく音声で伝えなくてはなりません。

多くの日本人にとってなじみのないディベートにいきなり取り組むことはハードルが高いため、当時の上級生 (1988~97年頃、未来塾は初級、中級に続いて上級コースもありました) が開発したプログラムが、現在の新生未来塾でも採用している「ディベート導入訓練」です。なお、この訓練は日本語で行っています。

実際のディベートの試合とそれに必要な立論のレッスンは中級で行いますが、初級ではその基礎となるスキルを学ぶために、「Yes/No game」、「ニューズレポート」、「賛成か反対か」のカリキュラムを用意しています。

初級第9回目のレッスンでは、トレーニーのみなさんに「ニューズレポート」に取り組んでいただきました。これは、それぞれ個別に配られる新聞や雑誌の記事についての概要と意見を15分間でまとめ、3分間で口頭発表していただく、というものです。もう少しくだいて言うと、その記事が要するに何を言っているのかをまとめ、自分の意見を形成してそれを聞き手にわかりやすく伝えることです。しかも短時間で準備し、聴衆に届く明快な音声で発表することが求められます。「概要」と「意見」を明確に分けることもポイントです。

発表の際に陥りがちな傾向として、記事に引きずられたり、ただ記事の一部を読み上げたりして「概要」に時間を取られて所定時間内に「意見」を言うことができなかったり、「概要」と「意見」が混ざっていて、聞き手にとって理解しづらくなったりすることがあります。また、そもそも「意見」が形成できない場合もあります。けれども、今回のトレーニーのみなさんは、記事の内容を程よい長さにまとめ、意見も形成されていてわかりやすく伝えることができていました。

<イノモン>

スピーチの音づくり

投稿日:2019年6月19日

未来塾のレッスンで目指すのは、「スピーチ音」の音づくりです。すなわち、publicな場面で、英語で主張をするときに通用する明快な発音の修得です。初級第8回目から最終回までは、このスピーチのレッスンとなります。題材は、チャーリー・チャプリンが脚本・制作・監督・主演をした1940年のアメリカ映画 ”The Great Dictator” の中の”The Concluding Speech of the Great Dictator”という有名なスピーチです。古いですが、内容が「自由」という普遍的なテーマを扱っているため、発表者自身の主張も込めやすい、ということでずっとレッスンで使用しています。

レッスンでは、導入として「スピーチとは何か」について簡単に説明し、留意点をトレーニーと確認します。興味深いのは、10項目の留意点に書かれていることは、言葉だけで読めば、それほど難しいことではなく、実際一人ずつ順番に読み上げていただいても、特に質問が出るような内容ではありません。けれども、文字面が「わかった」ということだけでは、本当の理解とは言えないのです。書かれている内容に当てはまる体験があること、あるいは、書かれた内容がその通りと感じ、それに応じて自分が変わる、ということがなければ、本当に「理解した」ということにはならないのです。

例えば、留意点の中に「語感やストレスは、人の真似ではなく、すべて自分の判断でつくる。その時、無意識のうちに自分の中の日本語感覚で抑揚を作るので、ここでハッキリとこれまでの訓練で蓄積し、工夫したはずのリズム、母音、子音の分量の割合を念頭において、音をつくりつないでゆく。無意識に声を出せば、必ず母国語になってしまうことを忘れない。」というものがあります。読むだけならば、これまで重ねてきた訓練からして、「ふむふむ」と流し読み、あるいは聞き流すところです。ところが、実際に訓練にはいると、ほとんどすべてのトレーニーのみなさんに、まさにこの通りの症状が出てくるのです。そう、「無意識」にです。文字として英語の文章を見たとたんに、慣れ親しんだ日本語の音、リズム、呼吸で英語を読んでしまう方がほとんどです。これまで一生懸命つくってきた音はどこへ行ったのでしょう?

とはいえ、スピーチのレッスンの第1回目としては、トレーナーとしては想定内のトレーニーの方々の出来ばえでした。これからあと4回のレッスンを通じて、みなさんが日本語のリズムから英語のリズムに移行できるよう、「変われるよう」ともに訓練をしていきます。トレーニー・トレーナー双方に困難を伴う取り組みではありますが、最終回にどのような変化がみられるのか楽しみでもあります。

<イノモン>

音声表現-Iの発表 & Yes/No Game

投稿日:2019年6月15日

未来塾初級コース第7回目では、最初に音声表現-Iの発表に向けてリハーサルを行い、そのあと、トレーニーの皆さんに発表をしていただきました。訓練中は、トレーナーがさまざまなコメントをだしてきましたので、多少混乱しながらも、いざ本番となると度胸が据わって練習の時よりも堂々と発表される方もおられますし、逆にいろいろなことを気にしながら緊張してしまい、本来の良さを出すことができない場合もあります。それでも、みなさん、精一杯取り組んできてくださったので、トレーナーとしてもわくわくどきどきしながら、発表をお聞きしました。

誰でも人前で発表となれば緊張するものですが、ともに練習を重ねてきた仲間の前ですから、緊張と言ってもそれほど深刻ではないかもしれません。けれども、お仕事などで同様の状況になれば、さらに緊張も高まります。そのような時にも、十分に相手に届くクリアな英語の音を出せるように、訓練では増幅法で音づくりをしているわけです。

発表の後は、ほっと息をつく間もなく、英語の発想法を学ぶ第1回目として、Yes/No Gameを行いました。

Yes/No Gameというのは、出題者に対してトレーニーが順番にYesまたはNoで答えられる質問をし、出題者が頭の中に想定している「具体的なものや人」を当てる、というものです。ルールは、間を置かずに質問していくこと、同じ質問はしないことです。

このレッスンの目的は、日本人の英語習得において障壁となり得る、コミュニケーション上の問題点に気づく、というものです。たわいもないゲームのように思えますが、実際にやってみると、普段日本語のコミュニケーションでは気づかない自分たちの特徴に気づくことができます。すなわち、質問をするのに時間がかかる。そもそも質問するということ自体が苦手な場合が多く、適切な質問をすることも得意ではありません。質問を考えることに精一杯で、ほかの人の質問をよく聞いていないので、同じ質問をしてしまう。前に出た質問を生かすことができず、答えを詰めるための有効な質問ができない、など。

これらの点は、ひっくり返すと、すべて英語のコミュニケーションで必要なスキルになります。つまり、英語を話す人たちとコミュニケーションする際に、適切な質問ができて、会話をスムーズに発展させていくことは、自分をアピールすることにつながり、相手によい印象を与えて、良好な人間関係の構築を図ることができます。

また、Yes/No Gameでは、常に「必要な目的に至るには、何がわかっていないのか」ということを念頭に置いて質問する必要があるため、情報の有効な整理法の修得にもつながります。レッスンでは1度しか体験ができませんが、レッスン外でもグループで遊びながらやってみることで、効果的な質問づくりのヒントが得られるかもしれません。

<イノモン>